第8話 魔封印

 みんなでコーヒーを飲んでマッタリしていると、クロードがスタスタと戻ってきた。


「お、クロード! なんか思いついたか?」

 と、ジャン。


「あぁ、まぁな……さくら、悪いがもう一度猫になってくれ」


「あ、はい!」

 私はテーブルから離れて何もないところで猫になる。


「ふむ、やはりな……」


 何だろう、何か分かったのかな。


「なになに? 教えて~」

 と、ジェイミ。


「さくらは猫だと言葉を発せないだろうから人に戻っていい」


 クロードにそう言われ私は再び人に戻る。


「この変身の際に、さくらは微量の魔力を操作している」


「そんなつもりないんだけど……そもそも私に魔力があるなんてこともビックリなくらいで……」


「あるある~、光属性の綺麗な魔力!」

「魔力って……魔力操作のセンスがある人なら結構無意識に使っちゃうから……」

 ジェイミとリュカがそれぞれ補足をしてくれる。


「そうなんだ……光の……」


 光の魔力があるなんて言われてもイマイチピンとこない。

 それに、リュカの言い方だと私には“魔力操作のセンスがある”ってことになる。

 それも全然サッパリだ。


 ここでクロードが説明を再開する。

「だから、さくらが猫の状態で私が“魔封印”の状態異常をかけよう。すると、一定時間魔力操作ができなくなるはずだ」


「なるほど!」

 と、一同。私はなんのこっちゃ。


「じゃぁ、さくらが猫になって上手く状態異常にかかったら、そのまま急いでお店行こう。もう夕方だしそろそろ閉まっちゃうよ」

 と、ジェイミ。

 うわぁ明日までこのままは困る!


「クロード、それ、お願いします!」


 私がサッと頭を下げ猫になると、クロードは魔法杖を構えて目の前に黒い光の魔法陣を作り出した。


 うわ、すごい。これが魔法……! めっちゃファンタジー!


⸺⸺裏魔法⸺⸺


「マギアシール」



「んにゃっ!」


 今確かに私の身体がなんかなった!

 身体の中で何かがきゅっと結ばれるような、そんな感覚。

 まさかこのきゅって結ばれたやつが魔法……。


「くっ……」

 急にクロードが苦しみ出す。


 え、なになにどうしちゃったの?


「さくら……なかなかすごい魔力の持ち主だった……」

 そう言ってクロードはそのままバタンと倒れてしまった。


「にゃぁぁぁ!?」


 クロード、大丈夫なの!?


「おぉ……クロードが倒れるほどの魔力……」

 リュカは目の前で仲間が倒れているのになぜか楽しそうにしている。


「ルシオ、そいつ部屋運んどけ」

「了解~」

 ルシオはクロードをひょいっと持ち上げると、そのまま部屋から出ていった。


「で、さくらお前どうなんだ? 試しに人間になりたい~って思ってみろ」

 と、ジャン。



 そうだ、今はお店に急がないといけないんだった。


 人間になりたい~!


 あ、猫のままだ。


 私は首をぶんぶんと横に振ってみる。


「お、いけたっぽいね!」

 と、ジェイミ。


「にゃっ!」

 こくこくとうなずく。



 ふぅ、これならなんとか服を買ってもらえそうだ。

 私はホッと胸を撫で下ろした。


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