第17話
戦隊もの活動は、当初の予定より平和的に進んでいく。戦闘は行われないので、人件費も修繕費もかからず、青葉くんの研究費のみがかかるスタイルだ。
もうすぐ活動は終わりを迎えるが、その前に一人一人面談が行われることになった。
政府的にも、平和的解決はうまみがあるので、青葉くんは戦隊活動が終わっても、個人的に契約が延長されるようだ。他のメンバーももともとの契約通り、メリット部分を受けとることになったらしい。
いよいよ、自分の番になり、佐々木と加藤が待つ面談室に呼ばれた。
もうすぐ終わってしまうのかと思うとすごく名残惜しい。
「もしよければ、桃谷さんこのまま一緒に働きませんか?これはヘッドハンティングです」
まさかの加藤が凛とした声でそう言い出した。加藤の発言なのでジョーダンではなさそうだ。
「僕には青葉くんのような賢い頭も他の子達みたいな若さもないですよ?」
思わず声が震える。
「あまりに自己評価が低いのは考えものだ。
確かに青葉くんの開発した翻訳機はすごいものだけど、それを使いこなし、いまの現状を作ってるのは君だ」
佐々木のいい声が自分を褒めてくれている。まっすぐな言葉に泣きそうになった。
ずっとブラック企業で何だかよくわからない仕事をしてきて、 駒のような扱いを当たり前だと思ってきた。
「ここで、一緒に働きたいですが、会社が許してくれるか」
加藤はにやりと笑う。
「桃谷さん、国家権力って知ってます?
合法的にブラック企業を倒産に追い込むこともできるんですよ?」
加藤の発言はあまりにこわい。
数日後しれっと前の会社を退職できることとなった。
何なら破格の退職金まで出て、加藤が何をしたか気になるところだが、恐ろしすぎて聞けない。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます