第12話
「名前は赤星 陣といいます」
勢いよく立ち上がった割に、名前のみで座りかけている。今日日の若者はそんなものなのか?
パッと見の感じは、身長も高く運動神経はよさそうだし、仲間とかも多そうだ。
まぁ、初対面だし、こんな訳のわからないところでの自己紹介、多感な年頃の彼にはあれくらいがちょうどいいのかもしれない。
佐々木は空気を読まず
「え!!赤星くんそれで終わり?つまんなーい」
妙にいい声なのに発言が女子高生のようで無性に腹が立つ。
「彼は赤星陣くん。都内高校在学の高校二年生です。運動神経が抜群で、色んな部活動で助っ人を依頼されたり、正義感が強く何回か表彰されてます」
加藤が淡々と赤星くんの情報を話し出した。
赤星くんは居心地悪そうな顔をしながら、 静かに席に着いた。
わかる。わかるよ!いい評判でも、自分のいるところで、自分の話嫌だよね。
赤星くんの次に立ち上がったのは赤星くんと同年代の女子高生か女子大生くらいの女の子だった。
「私の名前は獅子原若葉です!
18歳です。都内の女子大の1年です。趣味は体を動かすことです」
獅子原さんは、赤星くんの二の舞にならないように補足ありの自己紹介をしたが、
佐々木はそれだけでは許さなかった。
「若葉ちゃんは、陸上の選手で、
次期オリンピック選手候補の一人よー」
何故か佐々木はおネエ言葉を使い始めた。
獅子原さんも気まずそうに頭を掻きながら席に着く。
次に立ち上がったのが、気の弱そうなメガネの青年だった。
「僕は、青葉 大といいます。高校三年生です」
そこまでいうと真っ青になっていた。おそらく緊張のせいだろう。心底可哀想になる。加藤が続きを語る。「青葉くんは、将来有望な科学者です。
システムを組むのが得意で、色々な企業のシステムのもとを構築していたり、アドバイスしていたりします」
青葉くんは賢い担当であった。
青葉くんは真っ青なかおでぺこりとおじきするとしぼむように席に着いた。
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