第6話

「理解はできましたが、何故、私なんですか?」

そう、戦隊ものといえば、正義感が強いとか、運動神経がいいとか、頭がいいとかではないのか。

「正直真面目にはやってきましたけど、

運動神経に関していえば、下の下です。高校の時のお情けの5段階評価3。しかも学科試験でかなり高得点をとり、そのレベルです。頭だっていいわけではない」

自分で言ってて悲しくなってきた。数十年生きてきて、こんなに悲しい自己分析をしたことはなかった。

「君にはある!」

その時存在を忘れかけられたサングラス男はまたいい声で叫んだ。

「君にはこの会社で働いた実績がある」

はて?どういうことだ。

秘書の女は補足する。

「今までモデルケースで、何個かグループを作りましたが、頭脳派群とスポーツ群はどうやっても相容れず、間を繋ぐものが必要なのです」

?マークの数は増えるばかりだ。

「一つ前のモデルケースではグループ内に三毛猫を入れたのですが、思いの外にグループは一つにまとまり。ただ猫に予算をさくのが難しかったのと、動物愛護団体に訴訟を…」

つまり、庇護対象?

「それならば、私のようなアラサー男性より、可愛らしい女性の方がいいんじゃないでしょうか?」

「…誠に申し訳ないですが、妙齢の女性を何人もいれてしまいますと、チーム間に恋愛模様ができてしまい、戦闘どころではなくなりますので…あと、女性同士のいざこざは今まで一番大きなトラブルになり」

今日日の戦隊ものは訴えられることに敏感だ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る