第5話

「君も小さな頃に見ただろう?」

その男は異様に聞き取りやすいいい声で、そう語りだした。まるでさながら、それこそ戦隊もののオープニングのナレーションのような。

「まさにそれだ!」

待て、待て待て。これは説明ではない。

まさにそれって何だ!

と、思っていると怪しい男の後ろにいた、

美人秘書と言ったらという風貌の女性が現れた。

彼女の手にはテレビでしか見たことないような大きなハリセンが握られている。

軽快な音が鳴り響き、想像通り、彼女は男をハリセンで叩いていた。

「何の説明にもなってません」

それは数秒前に自分が考えてたものと同じで、少しほっとした。この空間の中で唯一話のわかる人の登場だ。

「端的にいえば、あなたが子供の頃から今もやっている某局の戦隊もののようなことをしていただきます。そもそも国家予算で秘密裏におこなっていたのですが、多くの報道機関にばれた上に国民から槍玉にあげられまして、解散を余儀なくされました。

しかし、解散したとて、彼らが解決してきた数々の問題は今も押し寄せて来ます。その結果、国会で、裁判員制度を元に、選抜戦術部隊制度が法案化され、それが通りました。それにあなたが選ばれたのです」

きちんと説明されたものの、そんな槍玉にあげられた報道見た記憶がない。いや、そういえばここ数年、テレビのニュースは朝の10分くらいしか見ていない。

家族との時間も大してとれていないし、その時間は会社の愚痴で終わってしまっている。

目にふれていなくてもおかしくはない。

ここで疑問が出てくる。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る