第4話

はて?社長が喜ぶほど目立つ業績を上げた記憶はない。そもそも社長にとって自分は名前すら思い出せないくらいのモブのはずだ。

「選抜戦術部隊制度のことは知ってますよね?」

先ほどこの部屋まで促してきた須藤がまたもやニコニコと話しかけてくる。

冷や汗が流れ出て、かと言って嘘をつくわけにもいかない。最初のうちにわからないものはわからないと言わないとあとになって相当めんどくさいことになる。

「きちんと理解しておりません」

小さく呟く。

「あ、そうなんですね。内容はあとで説明するとして、それにあなたが選ばれたんです」

え?全く想定していない出来事だった。

「選抜戦術部隊制度に選出された者は原則的に拒否権はありません。尚、選出された者が所属する会社はその期間、国からの助成がもらえます」

社長が大声を張り上げていた理由が何となくわかった。モブ一人排出しただけで、助成がもらえるからだ。

「ちなみに、恥を承知で確認しますが、選抜戦術部隊とは何をするんですか?」

文字面からして、平穏な制度とは思えないが、もしかしたらと期待を込めて尋ねる。

自分の後ろにある先ほど入ってきた扉がバンと大きな音を立ててあいた。

しかも、そこには胡散臭いスーツ姿のサングラスをかけた男が肩にラジカセを背負って立っていた。

漏れ出た音楽は昔自分の子供の頃にはまっていた戦隊もののオープニング曲だ。

軽快な音楽に合わせながら、その男は入ってくる。

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