勇気を振り絞った話
おもながゆりこ
第1話
昔、友達のアパートにみんなで遊びに行った時の事。
ひとりが連れてきた猫がベランダから脱走してしまいました。
探しましたがいません。
部屋の主がベランダから覗き
「隣の隣だ!」
と言っています。
主がその人の部屋へ行こうとしましたが
「住んでいるの、外人さんなんだよ」
と不安げに言います。
みんな英語など喋れません。
そこで私が狩り出されました。
主(友達)と共に隣の隣のチャイムを鳴らします。
外人の女の子がドアを開けてくれました。
主はなんて言えばいいか分からない様子で私の顔を見ています。
要件を言わなくてはと思いつつ、日本人の悲しいサガで、まずは自己紹介をしなくてはと思い込み
「アイアム、ディス、アパートメント、ガール、フレンド」
と、訳の分からない事を言ってしまいました。
私はこのアパートの住人の友達です、と言いたかったのです。
住人ってなんて言えば良いか分からなかったし。
外人さんは、何アンタって顔をして閉めようとしました。
閉められたら困るので
「ノー!ノー!アイム、ノット、バットガール、アイムナイスガール」
と、言いました。
待って、待って、私は悪い人ではありません。良い人です、と言いたかったのです。
外人さんはますます、何アンタって顔をします。
その人のベランダにいるこちらの猫を取り戻さなくては、ニャンとかしなくてはいけません。
要件を言うしかないと思い
「マイキャット、ユア、ベランダ!」
と言いました。
外人さんはやっとニコニコして
「オー、イエー」
などと言いながら部屋に入れてくれました。
ベランダにいた猫をつかまえて抱っこして
「オー、ベリーサンキュー」
と言うと
「ベリーキュート」
と猫を撫でてくれました。
あー通じた〜。私のつたない英語が〜。
部屋に戻ると友達が
「すげ〜、ゆりこの英語、通じたんだよ」
と、コーフン気味に言います。
「え〜凄いじゃん」
「ゆりこ、やるぅ〜」
などとやたら褒められ、ビールやらお菓子やら色々すすめられました。
いや〜、あんなの英語って言えないよ〜σ(^_^;)
こっちが恥ずかしいぜよf^_^;
勇気を出せば、物事はニャンとかなると、猫から学んだ出来事でした。
勇気を振り絞った話 おもながゆりこ @omonaga
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