Count 34 寿司でも食いいっか~!
「でも、何だかすごいことになったわね。歴史の証人になるってこういうのを言うのかしら」
タツコさんは白磁のカップを皿に戻して、やれやれといった顔で笑った。
ガゼボに戻ってティータイム再開。オレたちは紅茶に七色マカロンだが、母さんは日本茶に五家宝だ。もちろんちゃんとしたほうのやつで。
「リンドが【羅縄】に乗っ取られたときから数えたら、もう10年以上だけど~、全てはこの日のための布石と言ってもいいくらいよー」
愛のためなんて軽々しく言える年月じゃないな。もはや執念だろ。初めて出会ったのがお互いが7歳のときって聞いてたから、それから数えてもさんじゅ……ん? なんだろう、急に殺気が。
「要く~ん、何か思考が漏れてるみたいなんだけどぉ?」
ハ、ハイゴメンナサイ。視線のレーザービームで射殺すのは勘弁してください。
「分かればいいのよー、わ・か・れ・ば」
くっ! そ、それならついでに言うけど! ここまで
「あ~それぇ? 敵をだますには何とやらって言うでしょぉ? 要くんは思い切り顔に出ちゃうからねー。ポーカーとか絶対勝てないタイプだし~」
「あ、それ何となく分かるかも! 円東寺クン、変なところでクソ真面目だから」
み、巫子芝? そこまで言う?
「そうそう、こういう勝負となれば駆け引きは重要な要素だし」
た、タツコさんまで?
「正面突破だけでは生き残れない。そういうことですよ」
月霊姫まで! そんなにオレは頼りないかよ!
「ズケズケ言っちゃうのは性分だから許して~。それとワタシの【悪名】はもう消せないけど、これからギルドを背負って立つ若い指導者に無駄に手を汚させたくなかったって
そう言って母さんは正面からオレをじっと見つめてくる。普段はふにゃふにゃしてるくせに、こういう時だけその顔はずるいだろ! サングラス外したジェイク・ブルースかよ! それに指導者? 誰が? オレにそんなの務まる訳ないだろ!
「大丈夫よ~、
「えっ、どういうコト?」
どういうことなんだってばよ! まさかあれにも何か仕込んでたのか? ……だとしたら動いていたのは月霊姫か?
「はい、お二人の勇姿を一部始終、しっかりと映像に
それだけはやめろください! 巫子芝もばらまかれる前に止め……「特典映像
付きデジタルリマスター編集版で」とか言わないように!
「えっ? だって円東寺クンのカッコイイとこ何度も見たいし……きゃっ、言っちゃった(小声)」
「前半は~安里ちゃんの『爆誕! 戦う聖女アンリミテッドから光の神子アンリエッタへ』、後半は『降臨! 魔王ユビキタスから終極の魔王アーリスターへ』の2部構成でどうかしらー。【きみなぐ!】の宣伝にもなるから一石二鳥ね~」
商魂たくましいな、オイ! はあ……分かったよ。だけどオヤジの話はちゃんと聞かせてくれるんだろうな? 今度は
「要くんはどこまで知ってるのぉ? まあでも簡単に終わる話じゃないしー、それは日を改めてということで~」
おいぃぃぃ! それはアリなのかよ!
「まあ【きみなぐ!】の脅威は去ったしー、面倒ごとは片付けたし~。それに世の中にはリブートとかリマジネーションとかありがたいお言葉があるのよー」
それはご都合主義と何が違うんだ?
「それよりアタシご飯まだなんだけど~、安里ちゃんは何か食べたいものあるぅ?」
「あ、じゃあお寿司で!」
「いいわねー、ワタシも大好きなのよ~。じゃあ食べながら二人のなれそめとか聞いちゃおうかしらー。将来のこととか~」
「えっ? 何だか恥ずかしいけど……う~ん、新婚旅行とか?」
「定番の霧島とかかしらー」
二人とも何でそんなに意気投合してんの? っていうか霧島? 幕末か!
「子供は何人作る予定なのぉ?」
「う~ん、3人? ……ダ、ダメかな、円東寺クン?」
ちょっ、もうそんな話? 早い! 早すぎるだろ、巫子芝ァァァ!
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