Count 3 伝説の【三なし】 VS 不良グループ
「げぇっ! よく見たらお前、【三なし】じゃねえか! この高校に来たのか? ……さ、最悪だ」
さっき吹っ飛ばされたAが起き上がって震える指を巫子芝に向ける。
「おい大丈夫か、お前? 急に何言い出すかと思えば」
リーダーの問いかけにAはふるふると首を横に振る。
「磯島は知らねーだろうけどよ、こいつは【三なし】って呼ばれてた、地元では有名なバケモノなんだよ! お前らも聞いたことねえか? 『距離なし、加減なし、反省なし』唯我独尊3点セットのこいつの
Aの言った【三なし】という名前に反応して、他の子分どもの顔からさあっと血の気が引いていく。
「まままさかああの【三なし】? じ、実在の人物だったのか?」
「えっ、【三なし】って女なのか? 先輩の暴走族【スペランカー】を一人で一晩で壊滅させた【三なし】?」
「刃物を持ったヤクザ3人と互角に渡り合って、その後に大親分とマブダチになったっていう【三なし】?」
「ステップワゴンをひっくり返して、パチンカー夫婦を炎天下のアスファルトの駐車場で小一時間土下座させた【三なし】?」
おい、それどんな中学生だよ! 錆びた音をさせてオレの首が横の巫子芝を向く。
アノ巫子芝サマ、チョット訊キイテモイイデスカ?
オレの視線に巫子芝の眼が泳ぐ。「ははは」という笑いは速乾性だ。
「も、もう、やだなー! みんなでボクのコト、そんなターミネーターみたいに言わないでよ! 失礼しちゃうわ! ……そ、それにねっ! 後でちゃんと謝ったから。ホントだよ?」
「「「イヤイヤイヤイヤ! そこは大事なポイントじゃねーから!」」」
こぞって不良たちのツッコミが入る。……って言うか否定はしないのかよ。うん、分かった分かった信じるから近い近い!
「おれ、これからマジメに高校生やるわ。じゃあな」
Aがリングを外してとなりのBに渡す。
「無理無理、おれも死にたくねーし」
Bもそう言ってリングを外してCへ。
「そこまで不良に思い入れないんで」
「なんか急に勉強したくなったんで」
「い の ち を だ い じ に」
結局リーダーの手元に5個のリングが戻ってきた。
見れば去って行く5人の早歩きは、最後には全力疾走になっていた。
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