やはりやってくれますわね。
「いきなり!先頭バッターの平柳が初球をライト前ヒット!ノーアウトランナー1塁となりました!そして、2番の新井がバッターボックスへ向かいます!!初回から見応え十分!シャーロットの1、2番がメジャーの違いを見せるのか!」
口ではホームランと言いながらも、1番ヒットになる可能性の高いきっちりとしたスイングを見せられてしまいましたから、俺も負けじと。
インコースの食い込むボールがなんぼのもんじゃいと。右にやってやりましたわ。
「新井も初球だ!詰まってバットも折れましたが、ファーストの頭上を……越えました!これもヒットになります!!
打球はライト線を転々としている!平柳は2塁を蹴って3塁に向かう!ボールはサードに送られますが、タッチには至りません!ノーアウト1、3塁!!
これがシャーロットウイングスを初めてのワールドシリーズ制覇に導いた世界一の1、2番です!!」
「これもこのピッチャーが得意とするツーシーム。インコースの厳しいボールでしたけど、今のをヒットゾーンに運べるんですよね」
「メジャーの試合でもよく見るバッティングですね。体は窮屈に見えるんですが、軸をしっかり保ったまま、バットの面を使えるんでヒットになる可能性が上がりますよ」
あぶな!バット折られてますやん!ファーストに捕られるかと思いましたわ。でも、ランナーが1塁にいたケースですから、助かりました。
連続ヒットで1、3塁。お客様は喜んでいらっしゃいますが、まだまだこれからですわよ。
「バティサー、センターフィールダー。フジナミィー!!」
カキッ!!
「低め変化球、上手く拾った!レフト線に上がった打球だ!レフトがずーっと追いかけて………ライン際、捕りました!平柳がタッチアップ!……新井も2塁に行っている!タッチは……ヘッドスライディング、セーフだ!!
3番、打点王藤並の犠牲フライで日本が先制点を奪いました、1ー0!!」
「追い込まれた後で難しい変化球でしたが、よくあそこまで運びましたよ。いい働きですね」
1、2、3番が役割を果たし、いい流れになりましたを
2冠の4番にさらなる期待がかかったが、ツーシームを引っかけて内野ゴロ。5番の棚橋君は三振に倒れてこの回は1点止まりとなった。
試合は3回裏。9番は喫茶店の坊やであるナミッキー。ビクトリーズ、夜な夜な素振り部のメンバーとしてワクワクしましたが。
追い込まれてからのツーシームが膝元へ。どん詰まりのサードゴロに倒れた。
「粟山さん。オランダ先発のホースト、初回に失点はしましたが、その後は日本打線を抑えていますね」
「ええ。あのー、ツーシームが思い通りに投げられていますよね。初回に平柳と新井がヒットにしたのも、ツーシームだったんですが、キャッチャーの構えより若干甘くなっただけだったんですよ。
それが今のボールなんかを見ても、コーナーギリギリのところで動かしていますから、ミートするのは難しいですよね」
「オランダ先発のホーストは、デトロイトに所属する技巧派右腕です。オランダ国内リーグで活躍した後にアメリカへ。メジャー2年目の今年に、先発ローテーションを掴み、低迷するチームの中で9勝を挙げました。
シャーロットウイングスとは交流戦で1度対戦がありまして、4回途中6失点でKO。平柳と新井も、ホーストから1本ずつヒットを放っています」
「ツーシームが軸ですよね。そこにキレのあるドロップカーブ、スプリット、スイーパー辺りの変化球がありますけど、ツーシームも93マイルくらいは出ますのでね。単なる技巧派のつもりでは攻略が難しいでしょうか」
カンッ!!
「平柳は再び引っ張って1、2塁間ですが、今度はセカンドが追い付きそう!1塁へ送って2アウトです!」
カキッ!!
「新井も再び右打ち!今度はいい当たりでしたが、ファーストライナーでした!3アウトチェンジ。3回終わって1ー0、日本リードです!」
わりかし、しまったいいゲームになった。
両先発は予定通りという感じで共に3回でマウンドを降り、リリーバー勝負になるがなかなか堅い試合展開。
ウノゼロのまま後半戦かなと思いましたら………。
「いい当たりだ!!……ライトへ!大きな打球!……入りました!8番浦野に1発が飛び出しました!この大会の第1号ということになります!」
結局キャッチャーは浦野なんよ。
ファンの評価はそんな感じの男である。9年前の代表デビューから、気付いたら正捕手を掴み、金メダルやWBC優勝に欠かせない男となっていた。
メジャー移籍もあるのでは?という噂もあったが、打率3割28本打った年に手術をして、広島カルプスと実質的な生涯契約を結んだのだった。
さらに。
カシイッ!!
「左中間、これも大きな当たりになっている!!……入りましたー!!9番、並木にも1発が飛び出しました!2者連続!日本がさらにリードを広げました!!」
我らがナミッキーの強烈な一撃。カットボールを捉えると、左中間の看板の真下まで届く豪快なホームラン。広島のキャプテンに負けるかと、宇都宮のキャプテンもバットで意地を見せた。
その2人がベンチの前で抱き合うようにして、カメラに向かって、肩を組ながらガッツポーズ。
今日のハイライトは決まりですわね。
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