アブねーライナーでしたわ!

クリスタンテさんお得意の爆肩発動で失点阻止。もはやキャノン砲ですよね。


守備範囲はそれほど広くはないがああいう形になると、突っ込んだランナーの生還率はフィフティフィフティですから。



今のも、ほぼ定位置で、クリスタンテの助走の着け方も良くて、送球もホームベースに投げた瞬間にピッタシな弾道でしたから。


まあ、よほどの俊足でもなかったら止まらなければいけないタイミングに結果的にはなってしまった。



早く反撃の1点を取らなければと、焦ってしまったということだろうか。



3回、4回とピンチを迎えたウェブだったが、逆に5回、6回は調子を取り戻し、ランナーを許さないピッチング。20勝投手としての役割をしっかりと果たしマウンドを降りたのだった。



打つ方も、初回の大満塁チャンス以降は鳴かず飛ばず。相手先発のステゴリエスの出来はやはりよかったみたい。



100マイルに迫る直球とカーブのコンビネーションは抜群。こちらも6回を6奪三振、2失点でまとめて降板。



試合は終盤戦へと入っていった。



7回裏、ボストンの攻撃。



先頭、3番ドミンゲス。



打線はなかなかチャンスをモノに出来ずに停滞気味だが、まだ2点差。主砲である男に1本が出ればまだまだ分からない雰囲気だった。



ピッチャートンプソン。3球続けたスライダー。



カァンッ!



「またスライダーだ。センターに大きな当たりが上がった!バーンズ下がる、フェンスの手前、ジャンプして飛び込んだ!!……捕っています!これは素晴らしいプレーが出ました!フェンスに激突も、ボールを離しません!」



「ものすごい迫力の守備ですね。完全に抜けた打球でしたよ」



「バーンズはバッティングだけではなくて、このセンター守備もあります。フェンスに直接当たろうかというドミンゲスの打球を掴んでいます」



先頭バッターのツーベースかと思われた打球を捕っちゃうんですから、これはもうバーンズが今年のMVPよ。打ってよし、走ってよし、守ってよしですもの。





カンッ!



「これは詰まった打球になりました!センターの前だ!バーンズが突っ込む!足から飛び込む!………捕りましたー!鮮やかなスライディングキャッチ!2アウトです!!」



またすごい。抜群の反応と最高のタイミングでの滑り込み。絵になりますわぁ。




カキッ!!




「これは左中間に上がった!新井が追いかけます」



左バッターの切れていく打球ですし、これはわたくしですわね?と、思った瞬間に横から……。



「ガリッ、ガリッ、ガリッ!!」




バシッ!!




バーンズがやって来て、半ば横取り。



そしてそのキャッチしたボールをノールックで俺に投げ渡す。



この男、年上への敬意というものだけが足りませんわね!





「9回2アウト。マウンド上、クローザーのキースランド。追い込みました。ラストボールは何か。………低め、落としました。バットに当てた!ショートゴロ!


平柳がガッチリ掴んで2塁へ!ザムがベースに入りまして3アウト!!ゲームセット!2ー0!ディビジョンシリーズ第1戦は、シャーロットが先勝です!」



よしよしよし。



ウェブに始まり、トンプソン、イェーガー、キースランドと4投手による完封リレーでボストン打線を封じ込んだ。



出来ればこっちの打線がもう少し点を取れれば言うことはありませんでしたけど、本拠地で迎えたポストシーズンの初戦をまずは勝てたというのが何よりの成果だ。






翌日の第2戦。うちの先発は前村君。彼にとっても初めてのポストシーズンとなったが、1番バッターの初球に98マイルの速球がインローにビタ決まりしたのを見て、これは大丈夫だなと、俺は安心した。



そう思ったのも束の間。


アウトコースのボールを完璧に合わせた打球が強烈なライナーとなって襲いかかってきたのだ。


よりによってド正面の無回転気味の打球。1度弾きつつも、倒れ込みながら素手で掴み直し、なんとか難を逃れた。


スマイルで誤魔化した。



それからしばらくは、捉えられたような打球が全くなかったくらい。



最速99マイルのストレートに、鋭いスプリットとチェンジアップ。角落ちのボストン打線に対し、付け入る隙を与えないピッチングを披露した。


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