第2話 転生と名前決め

………?


気がつくと周りが明るく感じる。


「マリー!!やったぞ!元気な男の子だ!」


「はぁ、はぁ、良かったわハリー…!」


男女の声が聞こえる。


俺はどうなったんだ?確か、恵を助けようとしてトラックに轢かれたはずだ。


助かったのか?しかし、あの怪我で助かるはずがない。

まさか、生き返ったのか?有り得るのかそんなこと…


「産まれたー!?」


少女の声がする。


ん?生まれた?俺が?


確かに、手足を動かそうにも上手く動かせない。それに体が小さく感じる。目も開けられない。

俺は赤ちゃんになったのか?


つまりこれって…転生したのか!?!?


おいおいそんなことって有り得るのか?

まじかよ…


普通転生前に神様が出てきてチート能力をくれるとかそーゆー流れじゃないの?

何もなしに転生させられたの?


部屋を見る感じ昔の西洋っぽい感じだ。

綺麗な装飾品も飾られてる。高貴な家に産まれたのかな。


俺が転生の事実を受け止めていると男女2人が話し込んでいた。


「名前はどうしようか?」


「名前なら決めてるわよ」


「ああ、確かに決めたな」


「女の子ならアリシア、男の子なら…」


名前決め!これで俺の一生が決まる。

これって異世界なんだよな?ということは、カタカナだよな?

ゴンザレスとかアンドレスとかキラキラな名前じゃなければいいんだけど…


「「ゴリラントル!!」」


………

終わった……

この名前をこの先一生背負っていくのか…

絶対嫌だ!そんな名前だけは!


「あう!あうあうあー!」


「あら、可愛いわねー。お母さんでちゅよー。よちよち」


必死にもがいてみた結果、これだ

17歳の俺が赤ちゃん語であやされる。ああ…赤子の俺はなんて無力なのだろうか…


「わしの可愛い孫が産まれたかのう!?」


おっ、新しい人が来た。

孫とか言ってたからおじいちゃんかな?


「あら、ランドルトじい様。見てください!」


「おおー!これはこれは、かわいいのう、かわいいのう」


すげぇ愛を感じる…

こっちは今絶望を感じてるってのに。


「かわいいのう、わしの孫は最高じゃわい」


孫大好き系おじいちゃんか…気持ちは嬉しいのだが、俺の歳だとちょっときついな。これでも中身は17歳なんで。


「名前は何にしたのかのう?」


「男の子だからゴリラントルだ!たくましいだろう?」


「…………」


おじいちゃん?そんなぼーっとしてどうしたんだ?

まさかおじいちゃんまでこの名前を気に入ったのか?


「いかんわい!!」


うおっ、赤子の前でそんな大きい声だすなよー!びっくりしたじゃんか。


「誰がわしの可愛い孫にそんな名前をつけたんじゃい!もっとかっこいい名前じゃないとだめじゃろ!」


おじいちゃん!!さすがわかってる!おじいちゃんなら助けてくれると思ってたよ!おじいちゃん大好き!


「わしがもっとかっこいいのをつけてやるわい。うーん、そうじゃの、パンパラットピーヤはどうじゃ!」


いや、ネーミングセンス!?悪化したし!?

さっきの言葉は取り消そう。ごめんなおじいちゃん…


「何がいいかしら?」


おお、華麗にスルーした。


誰かかっこいい名前つけてくれる人いないのー?


「ルイス!ルイストリア!」


みんなが名前に困っていると可愛い少女の声が響いた。


ルイストリア!?いいねそれ!ゴリラントルとかパンパラットピーヤとかに比べればめちゃくちゃいい!


「ルイストリア…いい響きだ!それにしよう!」


「アリスよく考えたわね!偉いわ!」


「ふーむ、パンパラットピーヤがいいと思ったんじゃがな…」


パンパラットピーヤはやめてください…


「お前の名前はルイストリア・フールだ!」


てなわけで、色々とあったが俺の名前はルイストリア・フールに決定した。


結構かっこいい名前だから気に入っている

よくやったぞアリス姉ちゃん!


「名前も決まった事だし、今夜はお祝いよ!」


それからはみんな俺の出産祝いに向けて準備を始めた。


うーん……暇だな。

俺は何もできないからすごく暇だ。


「ルイストリアちゃーんごはんのじかんでちゅよー」


え!?俺だけもうご飯?みんなと一緒に食べたかったのにー。

あと、いい加減赤ちゃん語やめてください…こっちは17歳なんです。


「いっぱい飲むのよ」


マリーは上の服を脱ぎはじめた。


ん?お母さん?何してるんだ?や、やめろ!俺は17歳なんだぞ!やめろおおおおぉぉぉぉぉ!!!


俺は無理やり口に入れられた。


もしかしてあと何ヶ月かはずっとこれなのか?哺乳瓶とかないのか?だとしたら俺は耐えれそうにないかもな…


「よくできまちたねー、よちよち。次はおねんねしましょーね」


俺はここで寝る訳にはいかない。訓練をするんだ。

赤子の頃から訓練してたら強くなるとかあるあるだよね。


俺はしばらく寝たふりをしようと思ったが、耐えられず寝てしまった。

どうやら産まれたばかりの俺では耐えられなかったらしい。

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