無職だけど最強でした〜無職と馬鹿にされたが修行して覚醒したので無双したいと思う〜
えんじょい
第1話 夢
「起きてー!___起きて!朝だよ!」
女性の声がする…
誰かの名前を呼んだ声がしたが、上手く聞き取れない。
「起きないと朝ごはん抜きにしちゃうよー?いいの?」
女性が俺を揺さぶりながら可愛らしく聞いてくる。
朝飯抜きは嫌だな。
俺はうっすらと目を開けた。
「え?ええ!?」
目の前に立っていたのは俺の知らない人だった。
顔立ちがすごく整っており、綺麗な黒髪、吸い込まれそうな黒い瞳をしていた。
「なにをそんなに驚いているのよ?くすっ、変な夢でも見たの?」
「
俺はなぜか幼なじみの名前を口にしていた。
え?は?なんで今、俺は恵って言ったんだ?この人が恵?どう見ても違うだろ。
というか、俺の置かれている状況はなんだ?
ここはどう見ても俺の部屋じゃない。
「下で待ってるから、着替えたら降りてきてね!」
彼女は俺にそう言い、階段を降りていった。
訳が分からん…
俺はどうなってしまったんだ?あの女性は誰だ?ここはどこだ?
疑問が多すぎる。
ますます俺は混乱してしまった。
一旦冷静に考えよう。
俺は昨日、いつも通り自分の部屋で寝たはずだ。ところが起きたら見知らぬ女性と部屋、誰かに誘拐でもされたか?でも、戸締りは__
「敵襲よ!!」
俺が自分の状況を整理していると、下の階から声が聞こえた。
今のはさっきの人の声だよな!?敵襲?何が何だか分からないが、今はとにかく助けに行かないと!
俺はすぐに部屋を飛び出し、下の階に向かった。
カキンッ!カキンッ!
剣の打ち合う音が鳴り響く。
先程の女性と黒ずくめの怪物が剣で戦っている。しかし、女性がすこし押されているように思える。
何がどうなってるんだ。
「見つけたぞぉ!神ルイストリアァァ!お前を殺して俺様は力を得るんだぁ!」
黒ずくめの怪物がものすごい速さでこちらに向かってくる。
「だめ!逃げて!!」
女性が俺を守るように立つ。
その瞬間__
「お前から死ねぇ!」
目の前で血しぶきがあがる。
ドサッ
女性が血まみれで倒れる。
「うっっ!おえっ」
俺はあまりのグロさにその場でうずくまり吐いてしまった。
「これで邪魔はいなくなったな神ルイストリアァ」
神?ルイストリア?誰のことだ?俺はそんなやつ知らない。
「ル、ルイス、トリアなんて、し、知らない」
「何を言ってるのか分からないがよぉ、死ねぇ!」
そう言って男はナイフを振り上げる。
「俺はお前を殺して神の力を得るんだあ!!!死ねぇぇ!!」
え、俺死ぬの?まだやり残したことが___
男はナイフを握りしめた手を振り下ろした。
___あなたはここで死んでいい存在ではありません___
誰かの声が聞こえる。
透き通った女性の声だ。
___どうか、運命を変えるのです___
その声を最後に俺の意識は途絶えた
◆◆◆
「うわぁぁぁ!!はぁ、はぁ、夢…か?」
俺は叫びながら起きた。
さっきまでのは夢なのか?やけにリアルな夢だった。
俺は周りを見渡す。
ちゃんと自分の部屋だ。
「うっ、」
彼女の死に顔を思い出してしまう。
「最悪だ…」
なんであんな夢を見てしまったのだろうか。
それに最後の女性の声はなんだったのか。
「
母さんに呼ばれた。
なんであんな夢を見たのか分からないが、夢のことは忘れた方がいいな。
「わかったー」
俺は制服に着替えてからリビングに向かった。
「玲二おっはよー!」
「うお!なんでここにいるんだよ…おはよう恵」
「玲二遅いから家上がっちゃった!てへっ」
てへっじゃねーわ!ちょっと可愛いのやめろ?
このいかにも陽キャって感じの元気の塊やろうの名前は
こいつは俺とは反対で元気すぎるほど明るい。
つまり陽キャの中の陽キャだ。
さらに、整っている顔に綺麗な黒髪、吸い込まれそうな黒い瞳をしていてモテるに決まっている。
人生勝ち組はずりーぜ。
それに比べ俺は平凡過ぎるほどつまらない人間だ。
改めて紹介すると、俺の名前は
なんの取り柄もない普通の学生だ。
俺と恵は近くの高校に通っていて、今年で17歳になる。
「玲二早く行かないと遅刻しちゃうよ!」
「わかってるって。もうすぐ終わる」
「先に外で待ってるね!」
俺はすぐに準備して外に出た。
「行ってきます」
「気をつけるのよー」
「分かってる」
外に出ると恵の姿は見当たらなかった。
「恵?どこいったんだ?」
「わあ!!」
「うおっ!!」
「あはは!玲二の反応おっもしろーい!」
「びっくりさせんなよ!」
どうやら恵は隠れていたらしく、恵の作戦にまんまと引っかかってしまった。
朝からこのテンションについていくのには苦労する。
「遅いと置いてくよー?いっそげー」
「おい!待てよ!」
恵は俺から逃げるように走って学校に向かっていった。
「おい前見ろ!危ない!!」
恵は俺のことを見ながら走っていた。
そのため、前から来ているトラックに気づけるはずがない。
俺は気づいたら走っていた。
すぐに恵に駆け寄り抱き抱える。そして思いっきり横に跳んだ。
お願いだ!助かってくれ!
ファァァン!!
トラックのクラクションが鳴り響く。
次の瞬間、ものすごい激痛が走った。
「うぅ……めぐ…み………」
俺は地面に倒れながらもうっすらと目を開けた。
前には恵が倒れている。
俺は必死に恵に手を伸ばす。だが、届かない。
救急車のサイレンが聞こえる中、必死にもがいてようやくめぐみに手が届いた。
「ピチャ…」
なにか液体を触った感触がした。
俺は自分の手を見てみる。
俺の手は血で真っ赤に染っていた。
俺は…恵を助けられなかった…のか…
このようなことになるんだったら、気持ちを伝えていればよかった…
俺は、恵に自分の気持ちを伝えなかったことを後悔した。
俺の意識はそこで途絶えた。
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この作品を読んでいただきありがとうございます!
誤字脱字、改善点などありましたら教えてください!感想も送ってくれると嬉しいです!
引き続きこの作品をお楽しみください!
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