1話ーエピローグー
やがてお義父さん達が帰ってきた。宣言した時刻よりだいぶ遅れて帰ってきた。
「ただいま、セナス君。昨日はすまなかったね、すっかり外出する用事を忘れていたよ。歳は取りたくないものだね。」
「いいえ、お気になさらないでください。」
「ただいま、ルルナ。」
「おかえり、ママ。」
「色々と聞きたいことがあるんだけど、ちょっと来客を外で待たせてるんだ。入れていいかい?」
「ええ、構わないけれど、今日は誰か来る予定だったかしら?」
「いやね、人を探してるらしくて各地を転々としているんですって。人が集まる場所を教えて欲しいというからね、うちの道場に来たら?って言ったのよ。」
「外で待たせるの、悪いですよ。入ってもらいましょ。」
そう言うと、お義父さんがうなずいてドアを開けて迎えにいった。『人を探してる』か、随分と抽象的だな。こーゆー時って『〇〇を探してる』って言わないか?自分とその人の関係性を提示して、その人の情報をある程度開示すると思うんだけどな?そんな事を考える最中、お義父さんがその人を連れて来る。頭頂部に編み込みを入れた紫の長髪、桃色の瞳をしたメイド服を来た女性だった。
「マリア」
頭よりも先に口が動いていた。その人に関する記憶なんて欠片もないはずなのに。名前なんて知らにいはずなのに。それが彼女の呼び名だと確信を持ってる自分がいた。俺の声に反応して、彼女は顔をこちらに向ける。その後涙で眼を潤ませながら、俺の手を取り言葉を紡いだ。
「あぁ、あぁ、ようやく見つけました、セナレイリオス様。よくぞ、よくぞ御無事でいてくださいました。」
「え?探し人ってセナス君の事だったの??」
「はい。この方が私が5年間探し続けたお人です。この巡り合わせに感謝致します。」
「待ってくれ、いま『セナレイリオス』と呼んだか?それって、、、」
『マリア』と呼んだ彼女は、俺の手を離し話を続ける。どうやら彼女の探し人というのは俺の事だったらしい。おそらく、記憶を無くす前の俺を知っている人物なのだろう。ただ、俺の本名と思わしき名前に、お義父さんが引っかっているのはどういうことなのか?
「はい。お察しの通りです。『セナレイリオス・フォン・メイヤード』5年前、死亡と公表されたメイヤード王国第一王子御本人であらせられます。」
自分が、王子??信じられない事が告げられた。
虹の戦女神は恋する乙女 朝日雛 @asahina0304
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