第14話 お風呂屋
とりあえず、汗を流したいので一行はお風呂屋に行くことに。
江戸の町には風呂屋が沢山あり、社交の場として利用されている。
そんな風呂屋の一つで康隆たちの行きつけである乱馬の湯に入る。
当たり前だが男女に分かれるところで、不満げな真尼。
「何で男女別々なの?」
「姫様。自分の裸が色んな男に見られてもよろしいのですか?」
「むぅ……」
流石に月婆の説得にすぐに納得する真尼。
口を尖らせてぼやく。
「家に帰ったら昔みたいに一緒に入れるのに……」
「あはははは……」
苦笑いする康隆に蒙波が尋ねる。
「ちなみに何歳まで一緒に入ってた?」
「えーと……………………」
「18歳だけど? 何か問題でも? 婚約者だから何歳でも許されるでしょ?」
言葉を濁す康隆に対してあっさりと「何か文句ある?」と答える真尼。
少しだけ首を傾げながら蒙波がぼやく。
「……………………女の子に何かと触りたがって嫌われるお前からは考えられんな」
「うん……………………我慢の限界だった……………………」
豊満な体つきの絶世の美女である真尼と一緒に18歳までお風呂に入っていて何もしてなかったことに驚きを隠せない蒙波。
今の康隆なら確実に手を出していただろう。
「洗いっこしたかったなぁ……………………」
「姫様はわたしが洗いますゆえに」
女湯の暖簾をくぐりながらぼやく真尼と月婆。
男湯の暖簾をくぐりながら蒙波はぼやく。
「洗い合いしただけで終わるのか?」
「それが意外なことに、そこで終わるのよ」
「妙なところで律儀なんだな……お前」
ちゃりん……………………
番台に金を払って脱衣場で服を脱ぎ、洗い場へと向かう二人。
ムキムキムキムキ♪
意外……というほどではないが、二人の身体はムキムキな筋肉質で無駄な贅肉は無い。
夕方ということもあって、人がごった返している中で湯船からお湯を取り、その湯で身体を洗い始める二人。
汚いと思うかもしれないが、昔はこれが当たり前だったのだ。
「お背中流しますよ~? いかがですか~?」
湯女が浴衣姿で声を掛けながら歩いている。
ただかなーりの熟女で、おざなりな声かけなので、まだ若い二人は興味が無かった。
「お前はどう?」
「別に良い」
康隆の言葉にそっけなく答える蒙波。
ちなみにこういった湯女は体を洗うついで、色々と触って誘惑してきて、「一晩これで良いですよ?」と声を掛けてくるお仕事でもある。
ちなみに女湯の方では『湯女募集してますよ~。いかがですか~』という声が掛かっている。
色々とマッチポンプなお風呂屋である。
そんな女湯から月婆の声が聞こえた。
「湯女募集してますよ~」
「なるほど。わしの出番じゃな」
「え? ええと……ちょっと難しいと思いますけど……」
「腕が鳴るのぉ……」
「あ、あの、まだ雇うと決まったわけじゃないんですけど!」
何故か女湯から変なやり取りが聞こえてくる。
不思議そうに首を傾げる蒙波。
「あの婆さんは一体何なんだ?」
「俺が聞きてぇぐらいだよ」
投げやりに答える康隆。
数十分後……
バシャーン……………………
体を洗ってすっきりさせてから湯船へと入る二人。
「ふ~……………………」
「しみるなぁ……………………」
まったりと湯を楽しむ二人だが、そこそこで上がって蒸し風呂(サウナ)の方へと入る二人。
サウナが昔の江戸のにあったのかと言う人も多いが、実は逆で昔はサウナの方が主流で、湯船は少なかったと言われている。
それはともかくとしてサウナに入って体を整える二人。
「しかし、意外だな。あんな美人と一緒に居て全く手を出さないなんて」
「年頃になる頃には俺は種付け王を目指していたからな。手を出したら終わるってわかってたし、意外かもしれないけど、ああ見えて真尼姫様は奥手で、人見知りが激しいんだよ」
「……………………そうなのか?」
「そう。クールに見えるけど、クールで人当たりが厳しいんじゃなくて、単に人見知りでどう話して良いかわからないだけ」
意外とこういう人も多かったりする。
人づきあいが下手なだけの人間にはよくある悪癖である。
「だから、自分から前のめりにするってのが出来なかったのは幸いした。一緒にお風呂は入るんだけど、はずがしがって体を隠そうとするし、何故か俺に目隠ししたりするし。元々エッチなことが苦手なんだ」
「今の姫さんじゃ考えられんな」
体の汗を少しだけ手で拭う蒙波。
「で、どうすんだ? 諦めて一緒に帰るのか?」
「今考え中だから考えさせてくれ」
そう言ってうんうん唸る康隆。
すると、湯気の向こうから声が掛かった。
「お背中流しますよ~♪(セクシー声)」
物凄く色っぽい声が聞こえてくる。
それを聞いて康隆の目が光った!
「Fカップやな」
「声だけでわかるんかい!」
間髪入れずにツッコミを入れる蒙波。
ぷよん♪ ぷよん♪
湯気の向こうの胸のあたりがかなり大きく揺れる。
影なのでよくは見えないのだが、かなりの大きさだ。
それを見てスケベ顔が更にスケベになる康隆。
「言い訳させてくれ。さっきのはあくまでも考えられる最小値を言っただけなんだ」
「別に間違えた言い訳いらんけどな」
蒙波がそう突っ込むのだが、康隆には一切のためらいはなかった。
「じゃあ、お願いします」
「わかりました~♪(セクシー声)」
そう言って湯気の向こうの女性が近づいてきた!
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