ACT 4
A・M 1:30。
レディは目を伏せるとぽつりぽつりと歩き出した。
「夢袋はあたしを『ケンタウロス』と呼んだわ。いつか人間は、人間の上半身と馬の下半身を持ったあたしを、その二つをくっつけた生き物と見なくなるだろうか? あたしを見たら『ケンタウロス』という人馬に見るかしら」
レディは言葉を切った。大きくため息をつくと再び口を開いた。
「いっそ、『ケンタウロス』という新種として認知して。そのほうが楽だわ」
レディは立ち止まり、彼女を見下ろすようにそびえたつビル群を見上げた。
「あんたたちを造るように、私は創られたのよ。ふふふ、増設ビルのようにね」
レディは眉をひそめ、諦めと同義語の悲しみを浮かべて笑うと再び歩き出した。
「自然は優しいのよ。造り物の真似をしてくれるの。巨大な都市は『ジャングル』のようだ。ビルディングは『そびえたつ
レディはぴたりと立ち留まり、かすかに見えるひしゃげた十字架のような空と、空を切り裂いたビルを見あげた。
「慣れるわ。『ケンタウロス』という生き物として、慣れてしまう日が必ず来るわ」
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お読みいただきありがとうございました。
お時間がありましたら、同時掲載の「異世界ファンタジー」の方にも、お立ち寄りいただけると嬉しいです。
よろしくお願いします。
https://kakuyomu.jp/works/16818093074747194806
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