5
木嶋さんと同じプロジェクトになったのは、だから三年ぶりだった。秋から三月末にかけた、半年間のプロジェクトだった。木嶋さんとはまた席が近くなったけれど、今は残念ながら隣どうしではなくて斜め前だった。木嶋さんの隣には、今年入って研修を明けたばかりの新人くんが座っていた。私もいつのまにか先輩になっていた。けれど、工学科を出た後輩くんのほうが、私よりずっと優秀だった。
木嶋さんに話し掛ける機会が増えたのは嬉しかった。しかし、できるだけ木嶋さんに迷惑を掛けたくない気持ちもあった。人事のお姉さんは、プロジェクト初日に木嶋さんに小言を言いに来た。木嶋さんがスパンの長いプロジェクトに配属されたのは木嶋さんのせいじゃないのにな、と思いながら私は横目で眺めていた。周りの先輩はくすくす笑っていた。不思議そうな顔をしていた新人くんは、年明け前からすごい勢いで残業を始めた木嶋さんに驚いて、私に相談に来た。ああ、私が新人だったときと同じだなと可笑しくなりながら、私はかつての生村さんみたいに、気にしなくていいという話をした。自分より若い人と同じチームに入るのはこれがはじめてだったから、後輩のために何かできることがちょっと嬉しかった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます