第3話異世界の街‼
異世界に召喚されてすぐ、D級冒険者のセリカを助けその流れで寝食を共に、と言っても一緒に食事はしたけど別々の部屋で寝た翌日。
俺は朝の陽射しを目覚ましにして、スッキリと起きる事ができた。
するとノックの音が聞こえ…
「トーマさん、おはようございます!朝ごはんできました!」
「え、あ、ありがとう、すぐ向かうよ」
セリカが食事の準備ができたと言われ、俺は速やかに向かいご飯を食べた。
パンに焼いた肉、野菜サラダと簡素だが、美味しかった。
俺も世話になってばかりでは悪いと思って皿洗いなどの雑務を担った。
それからセリカは…
「今から街のギルドに向かいがてら色々教えたい事があるので付いてきて欲しいです!」
「え、はい、もちろん」
俺は突然見せたセリカの笑顔に一瞬たじろきながら、出発する準備を整え出発する。
エプロンをほどきながら少しそそっかしい姿のセリカも可愛い。
数十分歩いて、セリカの言っていた街に辿り着いた。
街の名前はティリルと言い、飲食店や八百屋だけではなく、武器屋や薬局などの様々なジャンルの店があり、王都と辺境の間にあるのを考慮しても活気溢れるのは見て分かった。
セリカは当たり前に思いながらも、俺は驚いていた。
ゲームやアニメ、漫画で見たような街が今自分の目の前に広がっているのだから。
「活気溢れているんだね」
「ここは王都ファランテスからまあまあ近い街ですから、色んな方面から作物や資材、武器だけじゃなく時にはモンスターから出るアイテムも扱うお店もありますから」
「そ、そうか」
セリカは慣れた様子で歩く一方、俺は田舎から都会に出てきた人間のような気持ちで周囲を見渡しながら歩いている。
異世界に来て活気のある街を初めて見れば、都会を知らない田舎者のような気持ちになるのも改めて納得できた。
そう思いながら歩いているとセリカが足を止めた。
「トーマさん、ここが冒険者ギルド【アテナズスピリッツ】ですよ」
「え、ここが?」
セリカが指差した建物を見ると、4階建てはあろうかの大きさに正門の立てかけ看板がでかでかと「Atena‘s Spirits」と掲げられていた。
想像していた以上に立派で大きな建物の外観に内心驚いた。
驚く俺をよそに…
「トーマさん、行きますよ。」
「え、あ…うん」
セリカに導かれるまま、俺は二人で入っていく。
ギルド内に入ると、そこでも多くの人がおり活気があった。
冒険者向けの受付や依頼掲示板があるだけでなく、敷地の半分近くが酒場のような飲食スペースがあり、食べ物や飲み物も専門店に及ばないが厨房もあった。
セリカから聞いたが、冒険者ギルドでは登録に関係する手続きやクエスト受注システムがあるのはもちろん、クエスト達成に伴う報酬の受け渡し、冒険者らの交流する機会作り、欲しい情報を得たり新しく発見した情報を互いに売買する場でもあった。
情報の売買と言っても、都内どころか他国でも分からなかった新発見の情報であれば価値ありとして相応のお金を受け取る事ができる一方、本人にとって新発見と思われる情報も多くの目撃情報などがあって内容が被ってしまえば、びた一文もらえなかったりとシビアである。
金銭のやり取りに厳しい評価基準を以て判断するのは本来どこの組織もやるのは当然だ。
まあ、現実世界で経験した取引先の状況を調べて営業活動していた実体験やアニメや漫画で何度か見覚えのある場面から知った経験則ではあるが……。
俺はセリカによって、冒険者における仕事を専門に扱う受付に案内された。
「あの、ナミネさん。」
「あら、セリカさん、どうされましたか?」
「冒険者登録をしたいのですが…」
「え?セリカさんは既に冒険者登録をされているはずなのですが…」
「いえ、違うんです、私ではなく隣にいる彼がです」
「ど、どうも…」
「え?はあ……」
セリカは早速本題に切り出し、受付嬢のナミネさんらしき女性は少し呆けていた。
暗めの長い茶髪をシニヨンに纏めた髪型にベージュのベストとパンプスのような服装をしており、顔立ちや雰囲気も清楚さを感じさせる雰囲気と若い受付嬢って感じだ。
セリカとのやり取りを見るに随分と馴染みのある間柄なのは見て取れるが…。
俺はナミネさんの前に緊張した面持ちをしながら立った。
「どうも…トーマ・クサナギと申します、冒険者登録をしたくてここに来た次第です」
「そうですか、では早速手続きを開始させていただきますね」
俺はステータスを表示させてナミネさんに見せた。
手続きの際は個人情報漏洩を防ぐためか、特殊なベールを張っている。
ナミネさんによると、俺の周りを纏うベールは手続きの間、姿を隠す機能を備えており、外からは殆ど中の状況を見せないようにしているとの事だ。
何というか、個人情報の保護はされているだけで安心した。
それから提示された紙に必要事項の記入を終えて、ナミネさんに手渡した。
それからナミネさんはすぐ後ろにある特殊な機械で紙を差し込んで横のレバーを下ろした。
数分待つと、ナミネさんが俺の下に歩き、長机の上に青銅色のカードを差し出した。
「トーマさん、こちらが冒険者である事を証明するカードでございます」
「トーマさんはFランクの冒険者ですので、ご覧の青銅色でございますが、実績を積み重ねればランクに相応しいカードになっていきます」
「分かりました」
ナミネさんが言うには、ランクを上げていくにつれてカードの色も変わるとの事だ。
スタートであるFランクは青銅色、Eランクは銅色、Dランクは黒灰色、Cランクは赤銅色、Bランクは銀色、Aランクは金色、そして最高のSランクは白金色との事だ。
「これで冒険者になる手続きは完了しました、今後の活躍を期待しています」
「ありがとうございます」
こうして俺は冒険者としてスタートを切る事になった。
すると近くに二人の冒険者のような装いをした若い男の人達が現れて…
「あんた冒険者になったんだってな?デビューおめでとう!」
「まあ、死なない程度で頑張りな!」
「あ、ありがとうございます」
やるべき手続きを終えて、応援される言葉をかけられて改めて思った。
緊張はしてるけど、何か俺、今凄いワクワクしてる!
そして、俺の異世界冒険者として生きると言う第二の人生が幕を開けるのだった。
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