第36話 ついにラーメンデビュー
ルクセンブルグに来てから、一度も日本食を食べに行っていない。そう、来たばかりのころ、スーパーの寿司でひどい目にあって以来、絶対にまずいだろうと思って敬遠していたのだった。
でも、デリバリーのチラシはよく来るし、ヨーロッパの中でもグルメの国のはずなのだから、もしかしたら大丈夫かも。
ということで、早速同僚に聞いてみた。
ねえ、おいしい和食屋さん、知らない?
あ、だったらね、MANZOKUってラーメン屋があるから、そこに行くといいよ。ちょっと遠いんだけどね。
確かにラーメンは和食だけれど、私は寿司とかお刺身とかを出してくれる居酒屋みたいなところをイメージしてたんだけどな。でもだまされたと思っていってみるか。
そのお店は、シティセンターからバスで10分くらいのところにある。唯一の日本人の友人を誘っていってみることにした。
そのお店は、夜は土曜日しかやっていない。平日は昼しかやっていない。不思議な営業時間なのにも関わらず、6時の開店時にすでに行列ができている。
どんなのが出てくるのか楽しみだな。15分くらいたったところで、店の中に入れた。そこで、アサヒビールを飲みながら待つ。おー、なんだか日本ぽいじゃないか。
店主は日本語が上手なイギリス人と台湾人のカップルだけど、台湾人は日本語ができないとのこと。うっかり日本語で話しかけていたら、横からイギリス人が日本語で答えてくれる。これも不思議な感じだ。
さて。カウンター席に案内されてメニューを見ると。ラーメン3種類。餃子1種類。それにおつまみが少し。あとはドリンクが数種類あるだけ。
味噌ラーメンと餃子と日本酒という、日本だったら絶対にやらない組み合わせを注文し、これで4500円くらい。あまりの高さにくらくらする。ラーメンのスープまで飲み干しても元が取れないんじゃなかろうか。
出てきたラーメンの見栄えも味もほぼ普通。うわぁ、懐かしい!とか言うほどのこともないような。(関係者の方、いらっしゃったらごめんなさい)
一方の友人は、感動的なおいしさだ、とか言って食べている。ラーメンはやっぱり、ここじゃなきゃ、だと。ずいぶん味の感覚が違うのは、こちらに住んでいる長さの違いかな。
あの、普通な感じがするんだけど、とボソッと言うと、彼女は言った。あなたの会社の近くにもラーメン屋あるから行ってみて。そしたらここのありがたさがわかるから。
次の週、早速行ってみるとそこも昼から行列。味噌ラーメンを食べてみてわかった。こりゃ、ラ王のほうがおいしいぞ。どうしたらこういう味になるのかしら。
MANZOKUかぁ。確かにここに比べたら大満足のラーメンを出してくれるけど、あそこに足蹴く通うのがいいのか、日本から大量にラ王を買って帰ってくるのがいいのか。いまだに結論が出せないでいる。
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