第31話 あこがれのシャンパーニュ
ルクセンブルグは小さい国なので、首都のルクセンブルグ市からフランスやドイツの国境まで車で40分くらい、ベルギーに至っては15分くらいでついてしまう。
冬の間は雨ばかりでどんより暗くて、車で出かける気にもならなかったけど、夏となれば別だ。真夏は夜の10時くらいまで明るくて、出かけるにはもってこいだ。
友人と家でだらだらとワインを飲みながら、今週末こそどこかに行こうよ、ということでGoogle mapで周辺の地域を全体的にみてみる。
すると。シャンパンの産地であるフランスのシャンパーニュ地方が、車で2時間半ほどのところだ、ということを発見した。
これは、行かない手はないでしょう。死ぬまでに絶対にやりたいことの一つに、シャンパンの本場、シャンパーニュ地方にある有名なワイナリーで、シャンパンを飲むこと、というのがある。
自分のミーハーさにあきれるが、本当に行きたいのだからしょうがない。
しかし、ミーハーというのは今でもつかわれているのかしら。昭和時代の死語かもしれない。
ということで次の日、友人と一緒に行くことになった。
この時期は本当にすがすがしい。緑があふれていて、太陽にあたってキラキラ輝いていて、からっとしている。日本の夏とは大違いだ。
ただし、日照時間が長いので、感覚が完全に狂う。私たちが家を出たのは、すでに3時を過ぎたころで、着いたのは5時半ごろ。それでも普通に昼間なので、まだまだ時間があるような錯覚に陥る。
ここはヨーロッパ。大体のところが6時、または遅くても7時には閉まってしまう、ということをすっかり忘れていた。
それに、予約をしないと入れないところが多い、というのも調べずに行ってしまった。ラッキーなことに、一か所だけ入れるワイナリーがあった。なんと、あの黄色いラベル、ヴーヴクリコ!
展示品を見て回り、シャンパンが一杯ついてくる3000円ほどのチケットを買って、一通り見て回る。へぇこういう樽で作るんだ、と一応感心してみてみるものの、シャンパンが早く飲みたくて仕方がない。
そそくさと庭に回り、お兄さんのうんちくを一通り聞いてから、ロゼか普通のシャンパンを選択。
やっぱり本場のシャンパンは違うな!
と言いたいところだけど、私にはよくわからなかった。それにシャンパーニュ地方と言えばすごそうだけど、結局はどこに行っても同じような田園風景が広がっているこの辺りでは、シャンパンを作っているワイナリーが密集していることを除けば普通の田舎なのだった。
友人とは、今度は泊りで来たいね、と話してみたものの、もう一度行きたいほどでもないかも、と思ったのでした。
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