第30話 ルクセンブルグ ナショナルデー
5月のある日。突然友人(同僚の奥さん)から、ルクセンブルグナショナルデーの予定を聞かれた。
ナショナルデーって何?6月23日、ルクセンブルグの王様のお誕生日を祝う日だと聞かされた。実際の誕生日は冬のようで、寒いからと夏に設定された祝日のようだ。
特に予定立ててないけど、というと、よかった、じゃあバーベキューをやろう、ということになった。会社の人を呼んでみんなでバーベキューをしようという。
えっと、うちでですか??私料理しないし、バーベキューのセットだって持ってないし、何せ、人を招待してパーティをするなんて、そんなこと今までしたことないし、準備だってどうしていいかわからないし、などとパーティをするというのが私にとっていかに大変なことか、と友人を説得してみた。
ところが、彼女はしたり顔で、そういうと思ったわ、と言う。あなたの庭さえ貸してくれればあとは私が全部やるから!ということで、あれよあれよという間に庭を貸してパーティをするということになってしまった。彼女に100ユーロ払い、ドリンクから肉からすべて割り勘で買ってきてもらい、飾りつけまで全部お願いすることになった。
そう。私は一軒家の1階部分に住んでいるので、私だけが自分の部屋から庭にダイレクトにアクセスできるという最高の権限を持っていた。とはいえ、冬の間は寒いし、雨だしで、庭に出ることはなかった。
春になり晴れる日が多くなるにつれ、一人でも庭に出て、庭の真ん中にある大きなリンゴの木を見ながらコーヒーを飲んだり、ぼんやりしたり、それなりに活用していたのだった。
庭に目を付けた彼女は素晴らしい。そう、バーベキューをどうしてもやりたいのに、私のところには場所がないからできないの、とのこと。そういわれると、うーん、そうなのねということで、大家さんに頼んでその日、庭を貸してもらうことにした。
会社の同僚を呼ぶ招待状まで作り、飾りつけは彼女がすべて行い、すごい気合の入れようだ。夫婦で肉や野菜のしこみを前日からやったという。いかにこのバーベキューに力を入れているかがわかる。
当日は3時ごろからみんなが到着し、だらだらと話しながら肉を食べる。この人たちって本当にバーベキューが好きなんだな。
この時期は日が沈むのが遅いので、長い一日を楽しめる。なんていい季節なんだろう。
友人たちが一通り帰り、片付けを手伝ってもらってひと段落したころ、花火が上がり始めた。日本の花火とは比べ物にならないけど、一応お祝いだから花火を上げるみたいだ。
来年も、この日はバーベキュー予約したから!と元気よく言われた。とにかく、バーベキューをしたいらしい。
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