第23話 インターナショナル展覧会
ルクセンブルグに来てから3か月ほどが経った。そんな時、目抜き通りの3kmほどの距離が、ポスターで埋まった。
そう、あのインターナショナル展覧会が3年ぶりに開催されますよ!皆さんお誘いあわせの上どうかご来場ください!
とのこと。なんだかずいぶん楽しそう。この展覧会は、世界の各国のブースが出展して文化を紹介する物産展のようなものらしい。確かにいろいろな国に行くのは大変だしお金もかかるから、向こうからきてくれるなら行かない手はないじゃないか。
そんな中、日本大使館からメール。日本も出展するのでぜひ来てくださいということだ。よく考えたらこちらに来てから、日本人にはまだ誰一人として会っていなかった。時々街中で見かける人たちは韓国か中国人が多かった。そう、こちらに来てから街で日本語を聞いたことさえなかった。
これは、日本人に会うチャンスじゃないか!ということで、早速週末に出かけてみた。
が、しかし。会場が広すぎて、かつ宣伝の効果があってか、ものすごい混んでいて、そもそも日本のブースがどこにあるかわからないではないか!
これは気長に探すしかないな、とあきらめてぶらぶらする。
ヨーロッパだけじゃなく、中南米、アフリカ、アジアの国々のブースがぎっしりと並んでいた。しかも、どういうロジックで並んでいるのかさっぱりわからない。先着順に詰め込んだのかと思うような感じだ。
メキシコから、スロバキア、タイ、ロシアなどを巡って食べたり飲んだり自分へのお土産を買ったりして、かなり歩いたつもりだが、日本はまだ見つからない。国自体も遠いしなぁ、なんて思っていた矢先。やっと発見した日本ブース!日本の国旗がでかでかと掲げられていた。
ブースに近づき、こんにちは。と日本語で話しかけてみた。すると大使館員の人なのか、にこやかに対応してくれた。うわぁ久しぶりの日本語。日本酒だって売ってるし、立ち飲みできる場所まであるじゃないか。ワクワクする。先に物産のほうをと思ってみていると、こちらの商品はどうもバザーのような品揃えだった(関係者の方、読んでいたらごめんなさい)。
だったら、久しぶりにお酒を飲もう!注文したのは3種類がティスティングができるというセット。さっきメキシコブースで買った豆をつまみに日本ブースに訪れる人たちを見ながらひとり晩酌。
そこではっと気づいた。本当は日本人に会って、話がしたかったのに。お酒に気を取られて、すっかり目的を忘れていた。周りを見渡すとどのスタンドも男性(多分日本人)のひとり晩酌の人ばかりで、女子など一人もいなかった。
これでは、日本人の友達を作るどころか、知り合いになることさえ大変そうだ。
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