第19話 いよいよ引っ越しだ

さて、早くもルクセンブルグに来てから1か月半ほどが経とうとしていた。


この1か月半、いろいろあったなぁ。


駐車場に車が止められないで、車小さいのに交換してもらったんだっけ。その後事故も起こしちゃった。フランス人のカップルは普通の人でほんと助かった。いくつかお気に入りのお店も見つけたし、IKEAで家具も買った。新しい家だって見つけた。運転だって駐車だって来た時よりはましになった。さらに、ネットのレシピとスーパーで売っている食材で、少しは料理をするようになった。


我ながら、すごい進化ではないか。えらいぞ、私!


そして、今日は新しい家に引っ越す日。とはいっても、2週間はダブるように借りているので、すべて撤去することなく、少しずつ引っ越せばよかった。それに荷物もないし。相変わらず中途半端な服と靴でしのいでいるし、少し日用品は増えたものの、そんなに大掛かりなものはない。


まず今日は、最小限のものをスーツケースに入れて行ってみる。今日は朝から、IKEAが家具の配達と組み立てに来る予定。何せ、家具がないんだから、生活ができる状態ではない。


さて、朝早く行って待ってみたが、一向に来る様子がない。すると携帯にフランス語でメッセージが。


ボンジュール。到着が遅れます。


え?それだけ??で、何時に来るの?


Google で翻訳してメッセージを送り返す。すると、ランチ食べてから向かいます、とのこと。


えーっと、今、10時なんですけど。ランチって、1時過ぎに来るって言ってる??


ちょっとIKEA、時間通り来ないんだけど!と先日の友人にWhatsappで連絡したら、ははは、ヨーロッパへようこそ、というメッセージが返ってきた。


なんだそりゃ。意味不明。


そこで彼女から電話。今から行くから待ってて。コーヒーでも飲みに行こう。


彼女が来てから、近所のカフェへ。


ねえ、さっきのどういう意味?


ああ、あれね。ヨーロッパではあるある。時間通りに来ない。時間よりも大幅に遅れて着たり、早く着たり、そんなの普通。慣れるしかないって。いちいち怒ってたら疲れちゃうよ。


なんですかそれは。予定たたないじゃないの、と憤慨していると、そうそうそれ。やめたほうがいいよ、無駄だから。だってそういうもんだもん。


はぁ、そういうもんなんですね。一筋縄ではいかないもんですな。


腹立たしさに任せて、朝からケーキを注文することに。そのケーキの美しさとおいしさで、なぜかますます腹が立った。







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