女50代、一人でルクセンブルグに移住した件

第16話 家具探し

家が決まったところで、次は家具探し。そうだ、家具ってどこで買うの？

同僚の奥さんが、世話好きの人で助かった。あなた、お金さえ出してくれれば私が全部選んであげるわよ。私、インテリア趣味なんで。

うーん、さすがに全部まかせられないでしょう。やたらポップな部屋にされてもやだし、パステルカラーとかにされても落ち着かないし...

そういえば私、家具ってどこに売ってるか知らないし、どこに行けばいい？一緒に行ってくれない？

ということで、彼女に連れて行ってもらうことになった。

ルクセンブルグってね、極端に高い、ハイエンドな家具か、ＩＫＥＡの家具か、どちらかしかないと思ったほうがいいよ。大丈夫、ＩＫＥＡってそんなに悪くないから。みんなＩＫＥＡで買ってるよ。

というので、ルクセンブルグから車で20分ほどのところにあるＩＫＥＡに行ってみた。ルクセンブルグはとても小さい国で、首都のルクセンブルグ市から西に20分ほど車で走ればベルギー、南に40分ほど走ればフランス、東に40分ほど走ればドイツの国境を超えることになる。

ＩＫＥＡはベルギー国境を越えたすぐのところにある。国境近くに店舗を置くのはどうもＩＫＥＡの戦略らしい。どちらの国にも配送できるから、だそうだ。

早速店内へ。日本にもＩＫＥＡってあるけど、こんなに大きかったっけ？？歩いても歩いても売り場が続いている。それに、ＩＫＥＡの黄色と青のＴシャツを着た店員がほとんどいないじゃないの。

どうしたらいいのよこれ、いっぱい買わなきゃいけないものあるし...

そう、私の友人はとても頼もしいのだった。私の家具だというのにすでに間取りから、大体これくらいの大きさがおすすめというので、すでに必要な家具のリストを作ってくれていたのだ。

後は、店員を探すのみ、ということでやっと捕まった店員は、フランス語しかできないとのこと。その人に英語のできる人を探してもらい、やっとすべての家具を注文することができた。

私は、家具にも興味がない。唯一、こだわったのは、ソファはソファベットになるものにする、ということだけだった。だって日本から友達とか家族が来るかもしれないし。いつでも泊まれるようにしとかなきゃ。

だが、この円安の中、1年半以上たった今でも、だれ一人遊びに来てくれない。ソファベットはまだ出番がないままなのだった。