第13話 明日から何食べよう

事故起こしちゃったし、すしでは大失敗しちゃったし、さんざんだったけど、スーパーでいろいろな食材を発見し、何とか食べ物は調達できそうね、とご満悦な私。


だが、そもそも私は料理をしないではないか。


日本では、友人と居酒屋に行ったり、閉店間際のスーパーで半額のお惣菜を買って食べたり、Uber Eatsで取り寄せたりと、ありとあらゆる手段があり、全く料理をしなくたって生きていけた。


どうしても自分で作らないと食べられないもの、例えばお正月のお雑煮とか、出来立てのスクランブルエッグとか、料理とは言えないものはたまに作って食べていた。時には無印良品の混ぜご飯の素とかでご飯を炊いてみたりしたこともあった。


しかし、どれも料理とは言えないものばかりだ。しかも、炊飯器だって持ってない。私は炊飯器以外でご飯を炊いたことがないから、すしライスだって食べられないじゃないか。


こちらのスーパーのすしで大失敗した私は、総菜は無理だと確信した。


じゃあ、何食べる?フランスパン、クロワッサン、ワイン、チーズやハム、ソーセージ?フランスもドイツも隣だから、これらはまず大丈夫だろう。ピザ、パスタ、などイタリアも近いから大丈夫だろう。


そう、郷に入ったら郷に従えだ。まずは料理をしなくてよいパンやチーズ、サラダからいってみよう。ワインは飲むのは好きだが、詳しくないので、とりあえずフランス製がよさそうかな、と適当に買ってみた。


次の日の夜は、ワインを除けば朝食のような食事。クロワッサンとチーズとハムにワイン。あれ、日本で夜ご飯って、冷たいものばかり食べることってあったっけ?


まぁ深く考えずに4日目の夜に乾杯だ。まだ会社にも行ってないし、何もしてない気がするけど、とりあえず良しとするか。


半分くらい食べたところで、思い出した。そういえば、友人に強く進められてストウブの鍋を日本で買ったんだっけ。なんでもおいしくできるという魔法の鍋。しかもそれは、ご丁寧に梱包されて、船便で今こちらに向かっているのだ。


料理、するつもり、なかったんだけどな。


デリバリーもあてにならないし、ご飯を食べに行く友達もまだいないし、何か暖かいものを食べたかったら料理するしかないのだ。まぁ、仕方ないか。ストウブが来たら何か作ってみるか。


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