第12話 今日、何食べよう

接触事故のあと、マンションにそのまま戻るのも悔しくて、そのままお目当てのショップに行った。


こういうところは我ながら感心する。図太いというか、めげないというか。


その店には雑貨からお菓子から、日用品までなんでも売っている。ダイソーというかドンキというべきか。面白い店だが、もともと行く必要がなかったのだから、買うものがあるはずがない。


だが、私は発見してしまった。海外によくある、変な日本語が書いてある、日本風のお菓子たち。豆、という漢字がでかでかとパッケージに印刷してある、ジャパンミックスというお菓子。これはあられとピーナッツが混ざっているお菓子で、異様に、目が吊り上がり、不自然に笑った顔の舞妓さんの絵が印刷されている。


なんと、数種類あるではないか。日本円にすると一袋300円以上だけど、どうしても食べてみたくなった。


全種類を大人買いしたところで、そういえばこちらに来てから、スーパーに一度も行っていないことに気づいた。


早速隣のスーパーに。


想像した通り、ハムやチーズ、パン、ワインの種類が半端なく多い。野菜も見たことがないものもたくさん。でもここ数年は日本でもいろいろなものが手に入るようになっているので、特に真新しいものはない。


いわゆるアジア食材は何もないかもと思いきや、もやし、白菜は季節であれば通常おいてあるみたい。お米もいろんな種類があるが、日本米に一番近いのは、すしライスというもの。3合くらいで、600円ほど。高くてがっかり。


鮮魚も豊富。これらはフランスからくるようだ。出来合いのすしも売っている。ぱっと見はおいしそう。いやいやきっとまずい、でも食べてみたい、とさんざん迷った挙句、一つ買ってみた。


家に無事ついた。事故っちゃったけど、駐車はうまくできた。

くよくよしても仕方ないし。よし、今日はすしとワインだ。一人で乾杯だ!


と、景気よく乾杯してみた。ワインは上々。さすが本場。すしはと言えば...


酢飯でないすしライスの上にサーモン(わさびなし)が乗ってるだけ。

こちらではすしや日本食が大人気と聞いたけど、これはすしとは言えない。日本人がまともに食べられるものではない。


上の魚だけ食べて、ジャパンミックスにトライすることに。色は奇抜だが、日本で一番安いおせんべいはきっとこんな味なんだな、と思わせるような味。すしライスよりはましだったが、リピなし確定。


今日の教訓。スーパーで日本風のものは買うべからず。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る