第10話 さて一人仮免、練習だ

駐車場には何とか止められた。さあ、出庫したら入庫できるかしら、などといろいろ思いを巡らせていたが、ハタっと気が付いた。そうだ、道路は日本と反対側を通行する。左ハンドル、右側通行だ。ということは、練習しないと危ないんじゃないの?


レンタカーから家まではナビを使い、ほとんど高速だったのですんなり来ちゃったけど、普通の道は狭いし、標識も違うよね。車を借りてすぐにスムーズに運転できるほど、私は運転はうまくない。だったら練習あるのみ。


でもいつがいいかな...。そうだ、日曜の朝とかは道路もすいてるんじゃないの。休息日のはずだし。お店も休みだし。こんな時こそ絶好のチャンス。練習あるのみだ。


そこで、ある日曜日の朝、私は意を決して、時間をかけて駐車場を出て、街に出てみた。思った通り、道路は空っぽ。よかったこれで練習できる。


と思いきや。


想像してみてください。前後、車がいない、貸し切り状態の道。車がいないから、逆走してるかわからないじゃないか!!!


我ながらいいアイディアだと思ったのに、全然練習になってないことに気づいた。だったら仕方ない、道路の標識を見ながら、一通り走ってみるか。


ということで街の中でも比較的大きい駐車場に入ってみた。そこは大きな広場のような屋外駐車場で、簡単な線が引いたあるだけのところ。ここで、駐車の練習を少しした後、今度は割と狭い道を通って帰ることに。


駐車場を出るところには小さな信号があった。そこで青になるまで待ってみたけど、一向に青にならない。なにこれ、壊れてる?


とはいえ、無視もできないし。


10分ほど待っても変わらないので、よく見ると小さな標識が。何語かわからず読めないのでGoogle Translateで見たら、「信号は、車が線のところまで進むと自動的に変わります」と書いてあった。そんな信号があるなんて...


そう。標識が読めないで、一人で町中を運転するというのはこういうリスクが伴うということなのだ。うーん、国際免許を持ってるだけじゃやっぱりだめなのね。


信号が変わり、小さな道を進んでいくと、やたらと車や人が多い一角に突入してしまった。この人口密度のばらつき、おかしいだろ!何なの?


そう、それは教会の近くだったのです。日曜日は礼拝の日じゃないか。なんでよりによってそんなところに突っ込んでしまったのか。


何とかその雑踏を抜け、家の駐車場に着くころには、またくたくたに疲れ切っていたのでした。

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