第9話 ルクセンブルグ 3日目
昨日から、遠足前の子供のごとく、ワクワクしてよく眠れなかった。
そう。今日はいよいよレンタカーを借りに行く日。これで誰かに頼んで車でどこかに連れて行ってもらうこともなく、一人で行動できると思うとそれだけでうれしかった。国際免許、様様だ。
指定しないとマニュアル車になりかねないので、オートマでコンパクトカーというのを指定しておいた。さあ、これから2か月間にわたって借りる車とご対面だ。
用意されていたのは、ねずみ色のAudiだった。マットグレーというらしいが、ねずみ色にしか見えない。それに、コンパクトカーのはずなのに、大きく見えるのは気のせいでしょうか?
正直私は車に興味がない。運転は好きだけど駐車は大の苦手だ。だから、駐車場が異常に狭いルクセンブルグで、どこでも、どんなに狭い道に路駐しなければならなくても、駐車できる車だったらなんでもよいのだ。そんな私でもねずみ色はちょっとなぁ。
さて、気を取り直し、さっそく運転してみる。うん、なかなか快適じゃぁないですか。ちょっとスピード出してトラックを追い越してみたりして。これが一番安いグレードの車なんてさすがドイツの隣の国だけあるなぁ。などと考えている間に、家に到着した。
そしていざ地下駐車場に挑んでみると...
あれだけイメトレしたのに、どう車を切り替えしても全く入らない。私の駐車場は両方をコンクリートでがっちり固められた、狭い空間だった。入ってしまったら最後、車から降りられないかもと思うような狭さ。無傷で入庫できないのではないかと思う狭さ。
20分ほど格闘したけど、やっぱりドアをこすっちゃいそうで、どうやっても入らない。駐車だけの免許があったら私は絶対受からないだろう。しかたなくあきらめてレンタカーショップに戻ることにした。
どうしても駐車できなかったから、ある中で一番小さい車に取り換えてください。と、交渉を繰り返し、新しく借りられたのはミニクーパーのねずみ色の新車。これで駐車できなかったらあなた、乗れる車ないよ、と忠告されたことを心に刻み、再度挑戦。何度か練習し、やっと入れた。毎回こんなに緊張するなんて、出不精になりそう。
前日のワクワク感が嘘のように、その日の夜は疲れ果てて爆睡したのでした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます