第2話 仕事内容って、なんでしたっけ?
前回の上司との会話ではルクセンブルグに勤務地が変わる、という話をしたことは覚えているけれど、肝心の仕事内容はどうしても思い出せない。
いまさら改めて聞く?それとも知ってるふりして、なんとなく聞き出す?
いや、知ってるふりしたらすぐばれるだろう。改めて聞く?これも聞き方によっては、話聞いてなかったの、とやぶへびになる恐れもあるだろう。
あ、そうだ!ここは、賢いふりをして「こういったことは重要事項なので書面でいただきたい」なーんて言ったらどうだろうか。今までのパターンから行くと、こういったことは必ず書面で提示されるものだ。我ながらなかなかいいアイディアじゃないか。これでバカだと思われない。
そこで私は、1時間かけてとても丁寧なメールを上司宛に書いた。こんな機会をもらえてとてもうれしいです。楽しみにしています。つきましては仕事内容など条件を書面でいただきたく、云々。
案の定、もちろんだよ、ということで書面で詳細が送られてきた。ひとまずはセーフ。よく聞いてなかったことはバレなかった。
しかし、仕事内容を見てあぜんとした。え、そういうこと??
要は上司が直接見るのが面倒くさい部門と口うるさい部下がいる部門を私にくっつけて、かっこいい部署名をつけて、なんとなく形にしたような変な感じの部署の担当になってしまった。
さて、どうしよう。
これは考えてたのと違います、と断る?当然じゃあ何を聞いてたの、となるのがおちだろう。新しい機会とても楽しみです、とポジティブに受ける?いや、何も言わなかったら後悔するだろう。
そうか。真ん中を取ればいい。
新しい機会をありがとうございます、楽しみです、しかし仕事内容についてもう一度話す機会をいただけないでしょうか...
こうすれば会話の流れで何とかなるだろう。
話し合い当日。口がうまい上司にほとんど丸め込まれる形で、結局その部署を担当することになった私は、全く新しい環境で全く新しい仕事をすることになったのだった。
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