池
小学生の頃、その地域の小学生が皆知っている程の公園で友達数人と遊んでいた。
いつものように遊んでいると、皆いつもの遊びが飽きてきたのか、公園内に流れている川をジャンプでこちら側から向こう岸まで渡るという遊ぶようになった。
川の深さは当時の背の順で真ん中、つまり学年の平均程の私の下半身まで水がくる程で、幅は私でも助走をつけ、ギリギリで跳べば行けるかもという程でした。
しかし、私は自信がなかったので傍観者としてただ眺めており、そんな私を横目に友人達は川をぴょんぴょんと跳び始めました。
そんな中、三番目の友人Aは向こう岸に片足が着くも足を滑らせて川に落ちてしまいました。
私含め、周りの皆は「なにやってんだよ~」と呑気に友人の失敗に笑っていると、段々とAの様子がおかしいのに気づき始めました。Aは両手と開けた口の半分より上の顔だけが水面から出ており、バタバタと両手をもがきながら口に入る水が邪魔して上手くいえないながらも「助けて」と必死に伝えてきていました。
その時、ようやく我々はAが溺れていると気づき、助けに入りました。
その場にいる友人の中で一番大きかったBがAを助けるため川に入り、他の友人達はBの補助や、周りの大人に助けを求め、私はただただ何が起きたかわからず、体が石のようにその場から動かなくなっていました。
しかし、棒立ちの私に対しBが「○○(私)も手伝え!」と言ってくれたおかげで目の前の現実に引き戻してくれました。
Bを含めた三人がAを引き上げようとしているのにもかかわらず、Aが引き上がらない現状を見た私はAの足が川の石か何かに引っ掛かっているのでは思い、AやB達が川に入り動いているせいか泥や砂が舞い上がり、茶色く濁っていた川に入り、もがき暴れているAの足をめがけ潜りました。
Aを助けるための腕の中にまじった水面とは逆の方向に引っ張る腕があるのを私は見てしまいました。
ですが、命がかかっているAの事を考えると怖がる暇もなく、伸びていた爪をAを引きずり込む腕に立てました。
なかなかしぶとい腕に力をさらにかけて、どうにかAから離すとB達がAをすぐに引き上げました。
それから、すぐに学校の集会でこの事を話されて、しばらく水辺での遊びがひかえられるようになり、溺れないから皆もそれが良いと安堵していました。ですが、私はあんなものが巣くうかもしれない場所で遊ばなくなることに対して、安堵していました。
あの時から、もう何年と経ち、あの川で遊ぶことなどなくなりましたが、あの川にはもう行きたくも見たくもありません。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます