第41話 お仕置き
「それでは早速始めましょうか」
シャーロットは僕を拘束する光の輪を操りベッドに仰向けに寝かせる。
その間拘束は緩むこと無く逃げ出す隙もありはしなかった。
もっとも逃げたら後が怖すぎるので逃げる気なんてサラサラなかったけども。
「な、何をする気……?」
「そうですねぇ……何にしましょうか」
シャーロットは頬に手を添え考える素振りを見せる。
その顔は笑顔だが相変わらず目が笑っていない。
「アランくんはわかっていないのですよ。私はアランくんがいないと生きていけません。弄ばれたとしても、ハーレムを作ろうとしても私はアランくんがいないとダメなんです」
「……」
「なので……」
シャーロットはニコリと笑う。
今度の笑顔は目も笑っているような気がした。
放っている威圧感は全く変わらないけども。
「アランくんも私がいないと生きていけない体にしないといけませんね?今よりももっともっと……♡」
シャーロットの目が妖しく光る。
な、なにをする気なのだろうか……
僕はもう、相当シャーロットに惚れている自覚がある。
それこそシャーロットにフラれなんてしようものなら自殺を選ぶくらいには。
それでもシャーロットは満足できないらしい。
「ぼ、僕はシャーロットのことが大好きだよ……?」
「ええ、普段のアランくんから大事にされている、というのは伝わってきてます。でも……」
シャーロットは僕の耳元に口を近づけてくる。
ふーっと優しく息を吹きかけられるとゾクゾクっと背筋に快感が走り抜けた。
「他の女に目移りしちゃうのはよくありませんよね?たとえ恋愛的な意味がなくても不安になりますし嫉妬してしまいます……」
「……ごめん」
自分が軽率だったのも事実だ。
誰もいない二人っきりの屋上で婚約者が異性に肩を貸して優しくしている。
シャーロットが男子に対しそんなことをしている情景を想像すると僕も心のモヤモヤが止まらなかった。
「メアリーさんとアイリスさんと仲良くするのは許します。でも他の女の子はダメです……」
「わかった。これからも気を付けることにするよ」
僕がそう言うとシャーロットは目を輝かせて頷いた。
そしてどこかに行ったと思うと細長い布のようなものを持って帰ってきた。
シャーロットはそのまま僕に馬乗りになる。
「え、えーっと……それは何に使う気……?」
「……?もちろんアランくんのお仕置きにですけど」
お仕置きを逃れられたわけじゃなかった!?
今の話の流れ的にもしかしたらあると思ってたのに!
「あの……お咎めなしなんじゃ……」
「それとこれとは別ですよ。アランくんが私を求めてくれるようになったら嬉しいですし」
シャーロットは布を巻き始め僕の目隠しを始める。
完全に視界は遮られ真っ暗になる。
何をするのか全く見当つかないのだが……
目隠しをしてするお仕置きって何!?
すっごく怖いんだけど!?
「な、何を……」
「ですからアランくんが私がいないとダメにするのですよ。
シャーロットが僕にかけてきたのは食堂でうわさ話を聞き取るときにも使っていた五感強化の魔法。
文字通り五感を強化する魔法なのだが……
シャーロットが詠唱した瞬間、僕の肌が一気にざわつく。
(これはまさか……!触覚強化……!?)
「気づくのが早いですね。では私がどうするかもお察しでしょうか?」
思いつく限り一つ絶対にやられたくないものがある。
四肢が動かずシャーロットが相手であるときのみ効力を発揮する……
頼むぞシャーロット……俺の思い違いであってくれ……!
「それでは始めますね。ちゅっ……くちゅ……」
シャーロットの舌が僕の唇を割り中に侵入してくる。
普段とは一味違う肉食獣のような攻めの姿勢のキス。
脳に甘い刺激が走りその感触を受け入れざるをえなかった。
「ふふ、このまま私がアランくんのことを自由に触り続けてあげますね?」
シャーロットが僕の服を脱がせ上半身が露出する。
開放感と共に少しの風が僕の体に小さな刺激を与えてくる。
くそ……シャーロットはどれだけ強化したらこんなことになるんだよ……
シャーロットは僕の胸元から腹筋にかけて指でつうっとなぞっていく。
少しくすぐったいような感触と共にシャーロットの指の冷たさが伝わってくる。
目隠しをされているうえに
「シャーロット……もう……」
僕がギブアップを宣言しようとするとシャーロットが優しく手で口を塞いでくる。
表情は見えていないはずなのに慈愛の微笑みを浮かべながらも目は少し光を失っているのが容易に想像できてしまう。
「ダメですよ……?まだ許してあげません。もっと耐えてくださいね」
シャーロットはそう言って再び僕の唇を塞ぐ。
甘い匂いがして頭がクラクラしてくる。
「ふふ、私じゃないと満足できない体にしてあげますね……♡」
僕はどれだけ続くかもわからないこの最悪の展開に絶望するのであった。
◇◆◇
「どうでしたか?」
「すごいきつかったけどすごく良かった……」
僕は今、既に拘束を解かれ自由の身になっていた。
あれから何回もシャーロットに弄ばれ続けようやく許しを得たのだ。
シャーロットのアメとムチの使い分けは凄まじく今回のは今までで一番気持ちよかった。
もう二度とやりたくないと思うけど。
「ふふ、またやりますか?」
「体を重ねるのは快楽を求めるためだけじゃないだろう?愛情を確かめ合う意味もあるはずだ」
僕は難を逃れるために言うとシャーロットは首を縦に振る。
そして俺の胸元に寄りかかってきた。
お互い裸なので体温やら柔らかさやらがダイレクトに伝わってくる。
「でも……アランくんがいつも以上に求めてくれてるのがわかって嬉しかったですよ」
「はは……僕はいつだってシャーロットに近くにいて欲しいと思っているよ。だけどあのお仕置きはもう勘弁したいところだね」
僕は苦笑するとシャーロットも苦笑い。
やりすぎてしまったという自覚はあるようだ。
「大好きだよ。シャーロット」
「ふふ、私もです。アランくん」
僕が抱きしめるとシャーロットはキスで応えてくれる。
僕はシャーロットのお仕置きはやばすぎると心に刻み込んだ。
……あれはもう二度と受けたくない。
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