第2話 覚悟を決めた男の顔
シャーロットちゃんと出会って数日が経った頃。
僕はいきなり頭に流れ込んできた別世界の記憶を整理し始めていた。
自分のベットにあぐらをかきながら腕を組んで考え込む。
シャーロットちゃんとはずっと仲良しでいたい。
この流れ込んできた記憶が正しければ僕たちが10歳のときシャーロットちゃんは貴族の養子になることが決まって離れ離れになってしまう。
それでノビリタス学園で再会を約束するんだけど……
僕は10年後、15歳のときに学園の入試試験で王子様が暗殺されかけている場面にたまたま居合わせ王子様をかばって死んでしまうのだ。
「僕はおうじさまをまもってしぬんだよね……どうせならシャーロットちゃんをまもってしにたいなぁ……」
この国には確かに僕と同い年の王子がいると聞いたことがある。
ラノベではどうやらこの世界を滅ぼそうとしてる魔王ってやつが王子様を暗殺するために学園の入試試験に魔王軍の中でも強力な魔物を解き放ったんだって。
それはもう、物語が終盤になって強くなったシャーロットちゃんや王子様達が力を合わせてなんとか倒せるくらいの強い魔物。
それで僕は王子様を守ろうとしてその魔物に殺されてしまったわけだ。
なんてお人好しなんだと思うけど先日シャーロットちゃんがいじめられていたとき男子数人に迷わず突っ込んだわけだし自分ならやりかねないと思っている。
ちなみに、王子様が狙われた理由は勇者になる確率が一番高いから。
なんでも聖女が愛した一人の男が勇者に選ばれ魔王を倒すことができるほどの強力な力を得るんだとか。
歴代の聖女は代々王族と婚姻してきたらしいんだよね。
それで王子様が狙われ僕が死ぬハメに……
「ということは……僕はつよくなればしななくてすむのかなぁ……」
王子様を見捨ててしまうと世界が魔王によって滅ぼされてしまうかもしれない。
結局、強くなるのが一番良い方法に思えてきた。
倒すのは無理でも自分と王子様の命くらいは守れるように。
それくらい強くなれれば僕は死ななくていい。
「うん!やっぱりつよくなろう!しななくていいように……シャーロットちゃんをまもれるように!」
僕は拳を強く握りそう心に誓った。
その表情はもう覚悟を決めた男の顔だった。
そうして、この日から特訓が始まった。
全ては強くなるために。
◇◆◇
まず僕が始めたのは体力作りと親に木剣をねだることからだった。
木剣は前払いということで数年分のお小遣いを没収された。
悲しい……
いつかは魔物を倒せるくらい強くなってお金を稼いで良い剣を自分で買いたいな。
そんなわけで今はシャーロットちゃんと遊んだり特訓したりする充実した毎日を送っていた。
「どうしてアランくんはそんなにとっくん?をしてるの?」
「つよくなりたいからだよ」
「どうして?」
「それは……シャーロットちゃんをまもりたいから……」
自分が死にたくないから、なんて口が裂けても言えなかった。
それが女の子に対する小さな男の意地。
そんな僕の言葉にシャーロットちゃんは小さく笑った。
「あーわらった!ひどいよ……僕はまじめにいってるのに……」
「ごめんごめん。アランくんはほんとうにかっこいいなっておもって」
「……ほんとに?」
「うん。アランくんがまもってくれるなんてうれしいな」
そう言ってシャーロットちゃんはさっきよりも楽しそうな笑顔を見せた。
その笑顔を見ると木剣を振るって疲れた腕や体の疲れが取れていく気がした。
シャーロットちゃんが笑ってくれるなら僕はまた頑張れる。
「きょうはとっくん?するからあそべないんでしょ?」
「うん……ごめんね」
さっきまで明るかった表情が一転ションボリとしたものに変わってしまった。
今日は特訓の日でシャーロットちゃんと遊ぶ予定ではなかったのだが街をお母さんと一緒に歩いているとたまたま出会ったのだ。
シャーロットちゃんのお母さんは今、僕のお母さんと楽しそうにおしゃべりをしている。
「ううん。あそべなくてもアランくんとおはなしできてたのしかった」
「あしたはいっしょにあそぼうね」
「うん!やくそく!」
「わかった。やくそく」
こうして次の遊ぶ約束をして僕たちは別れた。
こんな平和で幸せな日々を重ねていく。
はずだったのに──
2年後。
今までの僕は突然頭に流れ込んできたその圧倒的な情報量に埋もれてしまい気づいていなかったのだ。
僕たちが7歳になったこの年。
シャーロットの運命を大きく動かす重大事件が起こることを。
「なんだって!?シャーロットが……さらわれた……?」
──────────────────────
ラブコメ日間7位!
一日目での順位としては自己ベストです!
本当にありがとうございます!
アラン強くなって〜!と砂乃は切実に願っております。
シャーロットと早くイチャイチャしてほしい……
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