どうやら僕はラノベ世界の聖女の幼馴染らしい、学園で数年ぶりに再会したらなんかヤンデレになってるんだけど?

砂乃一希

第1話 出会いと全ての始まり

これはどういうこと……?


外でともだちと遊んでいると数人の男子たちに取り囲まれいじめられて泣いている女の子を見つけた。

その輝くような女の子の銀髪を見た瞬間、ぼくの頭にいきなり知らない世界の記憶が流れ込んできたのだ。

見たこともない服、乗り物、建物でその世界は溢れている。

あまりの情報量に持っていたおもちゃを落としその場に呆然と突っ立ってしまった。


「!こんなことしてるばあいじゃないや!早く助けないと!」


ぼくは女の子が今この瞬間いじめられていることを思い出し急いで走り出す。

全力疾走で駆け寄りいじめっ子たちから女の子を庇うように立った。


「おまえじゃま!どけよ!」


「どうしてこの子をいじめるの?」


「そいつの髪の色気持ち悪いだろ!まものみたいだからたおさなきゃ!」


確かに女の子の髪は今まで見たことがない銀髪だった。

だからって魔物と一緒なわけがない。

それにどんな理由があっても大人数で女の子を取り囲んでいじめるなんて絶対間違ってる!


「それでも女の子をいじめちゃだめでしょ?」


「う、うるせえよ!」


そう言って一番先頭にいたリーダー格の男の子が殴りかかってくる。

あれ……おかしいな……なんでこんなにんだろう。

今まで殴り合いの喧嘩なんてしたことはないはずなのに不思議と恐怖心は無くて振るわれた拳はもはや見えた。

体も自然と動き流れるようによけることができた。


「な!よけた!?」


「もうやめなよ。いじめなんてなさけないよ」


「うっ……おぼえてろよ!」


そう言ってリーダー格の男の子は後ろにいた男子たちを引き連れてどこかへ走り去っていった。

よかった……意外とあっさり諦めてくれた……

ぼくは汗を拭ってから女の子に向き合う。


「だいじょうぶ?けがとかしてない?」


「……だ、だいじょうぶ」


その女の子は今まで見た中でダントツで可愛かった。

そしてその女の子の顔にとてつもない既視感を覚えた。

でも会ったことないはずなんだけどな……

考え込むこと数秒、見たことがある理由が思い当たりハッとなった。

目の前にいる少女の顔もその記憶の中にあったのだ。


「きみは……シャーロットちゃんっていうの?」


「え……?わたしのなまえをしってるの……?」


その子は驚いたような顔をする。

それじゃあこの記憶って正しいものなの……?

この記憶が正しいならばここは『平民聖女の成り上がり』というラノベ?という本に出てくる世界なんだって。

シャーロットというのはその物語の主人公である聖女の名前だった。


「ぼくのなまえはアランっていうんだ」


「アランくん……」


ん?アラン……?

アランってもしかして聖女の幼馴染ってやつで学園の入学試験で王子を守って死ぬ人の名前!?

ぼ、ぼく死んじゃうの……!?


物語では聖女の幼馴染で王子を暗殺の魔の手から守って死ぬキャラクターがいた。

そのキャラクターの名前はアラン。

ぼくは今5歳だしシャーロットちゃんも同い年くらいに見える。

これから仲良くなるんだとしたら幼馴染になっちゃうのかな。

どうしよう、声かけちゃったけどもうおうちに帰りたいよ。


「その、たすけてくれてありがとう。アランくん」


「た、たいしたことじゃないよ!ぼくはほとんどなにもしてないし……」


「ううん。すっごくかっこよかったよ!」


シャーロットちゃんは花が咲いたような笑顔を見せる。

ぼくはその瞬間、心臓がドキっと跳ねた。

ど、どうしてこんなにドキドキするんだろう……


「……?どうしたの?」


「な、なんでもないよ!だいじょうぶ!」


「そ、そう……?」


なんとか誤魔化せたみたい。

不思議そうに小さく首をかしげている姿にもドキドキしてしまう。

さっきまで帰りたい、なんて思っていたのにもっとこの子と一緒にいたいと思っている自分がいる。


「すこしはなれたところにきれいなお花畑があるんだ。よ、よかったらいっしょにいかない?」


気づいたらお花畑に誘っていた。

もっとこの子のことが知りたい。

もっとこの子とおしゃべりがしたかった。


「ど、どうかな……?」


断られたらどうしよう……

ただ誘うだけなのにこんなに緊張するなんて初めての経験だった。

ぼくが緊張して答えを待っているとシャーロットちゃんはニコッと笑う。


「いいよ。アランくんとならいっしょにいきたいな」


「ほんとに?やったぁ!」


ぼくは飛び上がって喜んだ。

シャーロットちゃんの小さくてスベスベしている手を優しく掴む。


「はやくいこ!こっちだよ!」


「う、うん!」


ぼくたちは並んで走り出した。

花畑についたぼくたちは花の冠を作ったりおいかけっこをしたりして日が暮れるまで遊び回った。


この日から僕たちは友達になり毎日のように遊ぶようになったんだ。




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異世界ものに挑戦!

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