第2話 性格最悪な男子2人は女性陣から縁を切られて薫とのイチャイチャを見せつけられる

 大学を出てから、瑠奈と美緒は薫を探したが彼は見つからなかった。もう帰ってしまったのかもしれない。


 仕方なく2人でファミレスに入り、ドリンクバーを注文して過ごしていた。


「……やっぱり、薫くんに電話繋がんない」


 美緒はスマホをテーブルの上に置き、ため息をつく。


「そっか……」


 瑠奈は力なく美緒に返事をしながら、憂鬱そうに窓の外を眺める。外では大雨が降っており、空は黒い雲で覆われていた。


「ねぇ、あなたたち、文系学部の七瀬さんと宮波さんだよね?」


 ふと、そんな彼女たちのテーブルに1人の女性が現れた。


「そうだけど……」


 文系学部という言葉を使ったことから、その女性は同じ大学の生徒なのだろうかと2人は推測する。


「いきなり声かけてごめんね、わたしは理学部の西倉にしくら 眞澄ますみ。藤堂 薫くんの、中学時代の同級生」


 瑠奈と美緒は彼女の言葉に反応して目を見開く。


 今日、急にグループから距離を取った薫。そして突然現れた彼の中学時代の同級生だという女性の存在は、ただの偶然だとは思えなかった。


 ◇


 翌日の朝。


 快児と強太が学部棟のロビーで今日も下品に騒いでいると、ちょうど瑠奈と美緒が一緒に学部棟に入ってくるのが見えた。


「おっす2人とも。講義まで時間あるし、適当に時間つぶしてようぜ」


「てかさ~、今日こそは一緒にカラオケ行こうぜ? な?」


 女性陣が彼らの近くまで来たので、声をかける快児と強太。しかし、彼女たちはいつものように椅子には座らず、冷たい目を彼らに向けて来た。


 先日ファミレスで、西倉 眞澄は瑠奈と美緒にとある動画を見せてきた。そこには、快児と強太が理不尽に薫をグループから追い出す様子が映し出されていたのだ。


「は? あんなことしといてよく普通に話しかけられんね。アタシたち、あんたらとはもう縁切るから」


「は……?」「なっ、なにいってんだよ……」


 唐突な瑠奈の言葉に焦りを隠せない男性陣2人。そこに、さらに美緒が追い打ちをかける。


「2度とわたしたち2人と薫くんに関わらないで」


「おっ、おい待てって。なんで急に……」


 強太は立ち去ろうとする美緒の腕を掴む。しかし……。


「触んないで……!」


「……!?」


 強く強太の手を振り払い、彼らを睨みつけてくる美緒。瑠奈は比較的気が強い方だが、美緒がこんな顔をするところは見たことがなかったため、快児も強太も唖然として動けなくなっていた。


 そのまま彼女たち2人はその場を立ち去って行く。そして、薫の方へと歩いていく。


「おはよっ、薫」


「えっ、七瀬さん……」


 瑠奈は薫の右側に座り、彼の腕を両腕で挟み込む。今日、瑠奈は肩出しのニットワンピースを着ていたため、彼女のサラサラな肌の感触が薫の腕に伝わってくる。


 反対側では美緒が彼の左腕を両手で捕まえる。


「ちょっ、宮波さんまでなにやって……」


 こんなとこを快児や強太が見ていたらまずいと思い、薫は離れようとするが。


「薫くんっ、もう放さないよ」


「言っとくけどアタシたち、あいつらとはもう縁切ったから。もうなんも気にしなくいいんだよ」


「えっ、えぇっ……!?」


 唐突な展開にわけがわからず、呆気にとられる薫。そんな薫を見て、瑠奈も美緒も彼の腕を掴む手により力を入れて近づく。


 一方、女性陣2人が薫とべったりくっついてイチャイチャしている様子を見て、快児と強太は悔しそうに表情を歪める。


 しかし、彼らは成すすべなくその様子を見ているしかないのだった。

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