特別授業

 ノーバ学園の入学式から約一か月。

 ここまでの僕は周りの生徒から数多くの嫌がらせを受けながらも、問題なく学園生活を送ることができていた。

 基本的にはソフィアと過ごし、たまに我慢できず襲来してくるギアと関わりあいながらの学園生活だ。

 今のところ成績面は何の問題もない。

 授業から得られるものとしてはそこまで多いとは言わないが、それでも実りあるものは確かにあり、この学園の方に設置されている図書館何かは素晴らしい。

 図書館に寄贈されている大量の書籍は僕という人間を更なる高みへと押し上げてくれていた。

 たとえ、劣等紋であっても参考になるような理論等もかなりあるのである。


「君たちもここで一か月過ごし、学園生活というものに慣れてきたことだろう」


 さて、そんな満足の学園生活を送っている僕ではあるが、このまま何事もなく平和に終わるわけではない。


「そろそろ君たちも特別授業を行ってもらう時期がやってきた」


 このノーバ学園には特別授業というものが存在するからだ。


「特別授業について、知らないものは流石にいないか?」


 教卓の前に立っている担任の先生の疑問。

 それは流石にYesだろう。

 僕だって知っている特別授業の存在をほかのクラスメートが知らないわけないだろう。

 特別授業とは何か。

 それを簡単に語ると、一種の実技テストである。

 学園という学びの園から離れて外。

 例えば魔物が住む渓谷等で魔物と戦い、その様をテストとして採点して成績に加えるのである。

 特別授業とは言っているが、どちらかというと特別テストの方が正しいように個人的には思っている。


「ということで説明は省いて、君たちにやってもらう特別授業について説明していこうと思う」


 そんなことを僕が考えている間にも先生は話を進めていく。


「まず日時についてだが、今から一週間後に行ってもらう。それまでの間にしっかりと準備をしておいてくれ」


 一週間後か……結構早いのだな。


「それで君たちに何をしてもらうのか、だが……現在の予定としては多くの魔物が生息する大魔の森林に行くこととなっている。そこで君たちには魔物と戦ってもらう」


 大魔の森林かー、数年前に行ったあそこね。

 確かにあそこは魔物の数も非常に多いし、試験にはちょうど良いかもしれないね。


「それでだが、流石に一人で戦うのは危険である。君たちには三人一組となって大魔の森林へと潜ってもらう」


 ゲッ……三人組か。

 僕は担任の先生が告げた言葉に眉を顰めるのであった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る