嫌がらせ
ノーバ学園の校内は土足厳禁。
昇降口の方で靴を変える必要がある。
「ふんふんふーん」
昇降口の方にやってきた僕はそこで自分のロッカーを開けて己の上履きを手に取る。
その際、自分の上履きの中に入っていた虫の死骸などを灰も残さずに燃やし尽くし、刃物などによって切り裂かれたことで出来上がっていた傷をこれまた魔法で修復し、いつも通り新品同然の姿にしてから地面へと置いて己の足を入れる。
「ふんふんふーん」
校内を歩く僕がまず真っ先に向かうのは教室ではなく購買の方である。
「おっちゃん。いつも通り教科書。一通り全部ほしいな」
僕が毎日のように通い詰めている購買。
そこで店員をしているおっちゃんの方へと声をかけ、教科書類を売るように頼む。
「……君はよーぉ、買っていくねぇ?」
「あー……ここだけの話、教科書を転売しているんですよ。別に禁止されていないですし」
「なるほど……それは良き金策であるなぁ。嘘は、ついとらんか?」
「……ついてないよ?それじゃあ、僕はここで」
「……ほーい」
なんや、あの爺さん。
購買の店員だとは思えないくらいに敏感だったんだけど。こわっ。
「ふんふんふーん」
そんなことを思いながらも受け取った教科書類をカバンの中に入れてから自分のクラスの方へと向かっていく。
チラチラと自分に向けられる視線にも負けず進む僕は自分のクラスへとたどり着く。
「おはようございまぁーす」
クラスへと入る扉を開けた僕はそのまま自分のロッカーの中へと向かっていく。
自分のロッカーの中に入っているのはズタボロにされた教科書類、それに加えて色々なものが入りすぎてもはや何なのかもよくわからない汚物であった。
それらを魔法で処理した僕はこれまた新品同様のきれいさを取り戻したロッカーの中へと購買の方で買ってきた新しい教科書を入れ、そのままロッカーを閉じる。
ロッカーを閉じた際に他人から開けられぬよう、魔法で施錠しておくことも忘れない。
この魔法であれば放課後までは持つだろう。
「おはよーっ」
朝、学校の方に来るたびやっている日課を終えた僕は自分の席にカバンだけ置いた後、クラスで孤立して自席で一人さみしくソフィアの方へと向かっていく。
「今日はソフィアが先に学校の方へと来ていたんだね。ちょっと珍しいんじゃない?」
「はい。今日はちょっとばかり早めに起きたので、珍しくイーラくんよりも先に来てみました」
「くぅー、負けたか」
朝のHRが始まるのまでの登校時間。
僕はソフィアと雑談を交わして過ごすのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます