放課後
ノーバ学園初日は色々と大変なことばかりであった。
初回の授業からギアとの模擬戦で自分の力を誇示する結果となったと共に、昼食の時間にはアンビから忠告さえも渡された。
「んーっ」
だが、それでもしっかりと僕はノーバ学園の初日を終えることができた。
「あーっ、疲れた」
初めて入る大きな組織。
組織の一員として生活することに慣れない僕はただ学生として生活するだけで疲労感を感じてしまっていた。
「そうですね」
そして、そんな僕の言葉にソフィアが頷く。
「ですが、イーラくんがいて助かりました。私は男爵家ですし、受かっても孤立するかもしれないと覚悟していましたので、似た階級の人がいて助かりました」
「男爵と平民の間には絶対覆せない壁が本来であればあるんだけどね?」
「公爵家とか侯爵家とかが当たり前にいる空間じゃどっちもどっちですよ」
「まぁ、それもそうだね。僕の方も一緒に話せるソフィアがいて良かったよ。こっちと向こうの立場を考えるとギアの方とも関われないだろうからね」
「でしょう。それでですね?この後、一緒にご飯でも食べに行きませんか?学園が終わった後、友達と一緒にご飯を食べるってのをしてみたいんです!」
「んっ?良いよ」
少しばかり前のめりになりながら告げるソフィアの言葉に僕は頷く。
そのくらいであれば全然構わない。
「それでもあまり高いところはやめてね?平民にしては圧倒的に金を持っている方だと思うけど、それでも大量に持っているわけでもないから」
僕はギアの生家であるプラエセンス公爵家からお使いという形で様々な依頼を受け、それをこなすことでお駄賃をもらっていた。
それのお金がそこそこの量になっているが、それでも貴族と比べたら全然だろう。
「私は貧乏な男爵家なのでそんな店には絶対入れませんよ。私の懐事情はイーラくんとほとんど変わらないと思いますよ?」
「そうかな?それじゃあ、良いね。えっと、王都について全然知らないから、ソフィアがおすすめのお店の方に案内してほしいな?出来たらでいいけど」
「はい。そこら辺に関してはお任せください。私は結構な頻度で王都の方にはやってきていますし、ちゃんと美味しい店も知っていますので。しっかりと案内できると思いますよ」
「わぁ、ありがとっ。それじゃあ、案内の方お願いね?」
「はい。お任せください」
自分の言葉に頷いてある方向に向けて歩き出したソフィアの後に続いて、僕もそのあとを追いかけていくのだった。
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