ファイナルファンタジー6(スクウェア・1994年)

 プレイ時期:2002年ごろ

 ソフト入手:中古で購入

 クリア状況:エンディングまで

 おすすめ度:★★


 *


 リアルタイムでのプレイ経験がないわけでもない。友人宅や、あるいは友人が持ち込んだソフトで少しプレイしたことはある。確かに圧倒的なグラフィックだったが、ゲームとしてはあまり魅力を感じなかった。あまりにも軽々しく9999ダメージが飛び交う大味な戦闘に見えたのである。


 プレイヤー側が、明らかに悪玉として村を襲撃するシーンから始まるのが衝撃的である。『FF4』では回想で済ませたようなシーンをプレイヤー自ら手を下す必要があるのは、なかなかインパクトのある冒頭だったのではないかと思う。ストーリーの大筋は前作と同じような崩壊と再生なのだが、道化役から下剋上するラスボスが独特の存在感を放っている。


 現在はクロスオーバー作品などでティナが主人公ということになっている。実際に最初に操作するのはティナだが、この時点では洗脳で自我を失っているような状態で、プレイヤーとしての主体感が出てくるのはやはりロックではなかろうか。よくある冒険家タイプの青年に見えて、25歳という年齢設定は当時としては妙に高いと思ったものである(その後のイベントで納得するが)。


 ストーリーの早い段階からキャラによる視点分岐があったり、一時的に加入するNPCといった地味にシリーズ初登場の要素があったりして、とにかく個性的なキャラが賑やかな印象。本作から移動画面と戦闘画面のグラフィックが共通になった(フィールド用グラフィックが大きくなった)ので、イベントでのリアクションもよりわかりやすくなった。ただ、通常歩行時でもフィールド画面にパースが付いているのはちょっとやりすぎな気がしたが。


 育成システムは前作から大幅に簡略化され、アビリティは一部の装備で追加変更があるものの基本的には固定。魔石による魔法習得と、レベルアップのパラメータボーナスくらいとなった。


 この「レベルアップ時に装備している魔石によってパラメータにボーナスがつく」というのが曲者で、こだわるなら前半戦のレベルアップを極力押さえることを余儀なくされ、こだわって強くしたところでそれを披露する相手がいるわけでもない。そもそも力や魔力を少し上げるだけで簡単にバランスが崩壊する。通常のレベルアップではこれらのパラメータは全く増えないので、相対的に魔石の影響が大きいのだ。


 一方で敵が弱いかと言えばそんなことはなく、終盤戦では即死攻撃やカンストダメージが頻繁に飛んでくる。こちらの対抗手段は本作で新登場したリレイズで、事前にかけておけば即座に復活できる。このように即死とカンストと復活が敵味方問わず飛び交う大味な戦闘が特徴だ。


 とりあえず普通にプレイして、後に出たGBA版では後半に仲間が揃うまで極限低レベル攻略に挑戦したりしたのだが、ボス戦などで工夫の余地が少なくてあまりおもしろくなかったというのが正直な感想である。バニシュ→デスとか、アンデッドにフェニックスの尾とか、ワイルドカード的な即死手段が多すぎて、前作のように育成段階から戦略を考えるような必要もない。


 グラフィックは圧倒的で、キャラも多いのだが、ゲームとしての中身はスカスカな印象であまり好きにはなれなかった。それでも飛空艇ファルコン復活のように非常に印象に残った好きなシーンはあるし、そもそもちゃんと遊べるというだけでもすごいことなのだろうが。FFシリーズは本作からリアルタイムでほぼ手を出さなかったというのも、やはり個人的には正解だったのかも知れない。

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