ファイナルファンタジー5(スクウェア・1992年)

 プレイ時期:1994年ごろ

 ソフト入手:中古で購入

 クリア状況:裏ボス撃破&アイテムコンプ

 おすすめ度:★★★★★


 *


 1994年の夏休みに友達に借りてがっつりプレイしていた。もしかしたらFFシリーズで一番先にエンディングを見たかも知れない。攻略本ごと借りたので難易度もなにもないのだが、アビリティの組み合わせや属性などを考慮したシステマチックなバトルは、ドラクエシリーズとは全く別の雰囲気があった。


 借りている状態でも2体の裏ボスを倒す程度にはやりこんでいたのだが、ギルガメだけは倒せなかった。のちに自分で買って、今度はアイテムコンプも視野に入れて本格的にプレイする。当時は攻略本にすら乗っていなかった幻のアイテム「ティンカーベル」を偶然発見したのはいい思い出である。


 本作のジョブシステムは『FF3』のものを大幅に発展させたものである。ジョブ別に成長度があり、一定量を満たすとアビリティを覚えられ、覚えたアビリティは他のジョブにも付けることができる。アビリティはコマンド型だったりパッシブ強化だったり、あるいはその両方を兼ね備えているものもある。


 例えば白魔道士で覚えた「白魔法」のアビリティをナイトにつけると白魔法が使えるようになるだけではなく、魔力が白魔道士と同じだけ引き上げられるので、最大MPが増えるのはもちろん、魔力依存の武器が強化されたりするのだ。逆に、ナイトで覚えた「剣装備」を白魔道士につけると、ナイトと同じ力で剣が使える白魔道士になる。ジョブとアビリティの能力補正は単なる合算ではなく高い方に合わせられるので、短所を補うのが効果的だ。


 覚えるアビリティはジョブの固有能力だけではない。例えば竜騎士が覚える「竜剣」は、敵のMPを吸収するという魔道士向けの効果である。薬師の「調合」は、「薬の知識」のパッシブで強化できる薬師自身も有効活用できるが、より素早い盗賊や忍者のほうが適任かも知れない。


 本作は多彩なアビリティやアイテムのおかげで出来ることが非常に多い。攻略本でもボス別の必勝法なんてものが書いてあるが、それが唯一の解というわけではない(むしろ本の通りにプレイするとかえって不利になることもある)。これは攻略本の不備というよりは、プレイヤーに対して発見の楽しさを味わわせるためであると好意的に受け取っている。


 ストーリーは相変わらずFFシリーズらしい茶番劇の連続だが、前作よりは工夫されている。例えば序盤の目的はクリスタルを守ることなのだが、結局敵のほうが上手で次々に破壊されてしまう。しかし、壊れたクリスタルのかけらから新しいジョブが手に入るので、プレイヤーとしては「早くクリスタル壊れないかな」と不謹慎なことを考えてしまうのだ。


 挙げ句、最後の4個目に至っては、主人公が「残るは土のクリスタル!」と言う。もちろんこれは「守らなければ」という意味なのだが、プレイヤー心理としては「割に行こうぜ」となってしまうのを、おそらく作り手はわかった上でそういうセリフにしていると思う。そしてストーリーの大局としても、破壊ありきの再生というところに着地するという見事な構成となっている。


 シリーズの中では比較的人が死なないほうで、コミカルなシーンも多い。前作とは対照的にパーティメンバーの入れ替わりもない(序盤など一部で少人数行動がある程度)。いや、入れ替わりが「ある」のだが「無い」のだ。これは実際にプレイした方ならわかっていただけるはず。


 「FFらしさ」に何を求めるかは人それぞれだと思うのだが、システマチックな戦闘を楽しむという意味では一つの到達点だと思う。世界の真の姿に至るストーリー展開やその見せ方も良く、間違いなく全力で楽しめるRPGである。バージョン問わず(ロードの長いPS版は推奨しないが)ぜひプレイしていただきたい一本。


関連レビュー:ファイナルファンタジー3(ファミコン)

https://kakuyomu.jp/works/16817330662502416873/episodes/16818023212988013285


 3で出来なかったことを全て実現したのが5であり、先に5のほうをプレイしてしまったので3の評価が低くなってしまったということを書いている。

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