ドラゴンクエスト5(エニックス・1992年)

 プレイ時期:1993年ごろ

 ソフト入手:中古で購入

 クリア状況:裏ボス撃破

 おすすめ度:★★★★


 *


 これまた超有名な話題作だが、私自身がプレイしたのは1年くらい遅れていたと思う。少年時代から始まり、結婚を経て子供まで生まれるという大河ドラマのようなストーリーは非常に印象的で、確かゲームをプレイするよりも早く小説版(久美沙織)を読んだような気さえする。


 プレイする頃には、当然ビアンカとフローラのあれこれもネタバレしていたわけだが、リアルタイムの周囲の反応では「そもそもフローラと結婚できる」ということに気づかない人も少なくなかった気がする。例えるならDQ1のローラ姫の「そんなひどい」のごとく、ビアンカを選ばないと先に進めないものかと思われていた。小説や漫画(4コマや『天空物語』)でも当然ビアンカルートしか存在しないかのように描かれていた。


 結婚とともに本作を象徴するのが仲間モンスターシステムである。ほとんど運任せで、まともにゲームを進めながら欲しいモンスターを狙い通りに仲間にすることはほぼ無理である(やるとしたら過剰にレベルが上がるか、そうでなければリセットを繰り返すことになる)。そのため、パーティ編成に偶然性が生まれて、何度でも楽しめるようになっている。


 特に、青年期前半はパーティメンバーの大半がモンスターになるので、人によってかなり個性が出てくる。なので友達のプレイを見るのが楽しみだった。意外なモンスターが仲間になることに驚いたり、変な名前に笑いながらテレビ画面を見ていたのを思い出す。パーティ編成から装備品のやりくりといった戦略面でのプレイヤー介入が大きいのがこの時期の特徴といえる。


 それにしてもゲーム全体を通して金欠気味で、特に終盤で深刻なカネ余りが発生した前作の反省からか、ラストダンジョン直前でもメンバーの装備が半端(最後の街で買える装備品を買い揃えられない)なことも珍しくない。実際のところはそこまで強化しなくてもクリアできるのだが、一家の大黒柱のみならず一国の主として家族や部下を養う大変さというのを疑似体験できるとも言えるか。拾い物の天空装備で立派に戦う息子の親孝行ぶりに感謝すると同時に、娘にもいい服を着せてやりたいと思う親心である。


 実際に自分がプレイするときは、定番のスライムナイトとゴーレム以外はこまめにメンバーが入れ替わっていた気がする。後半は家族メインでモンスターはほとんど使わなかったが、今プレイしたらもっと耐性を重視してメンバーを選ぶだろうと思う。個人的にはなんとなく好きだから「踊る宝石」を連れ回していたのだが、耐性が高くて思っていた以上に評価されているようだ。


 ストーリーは大きく3パートに分かれていて、最初の2パートは悲劇的なエンドとなる。最終的には失ったものを取り返していくカタルシスがあるわけだが、ラスボス直前の主人公の母の扱いはいくらなんでも唐突というか投げやりというか、最終的に退場させるにしてももっと上手い見せ方があったんじゃないかと今でも思う。


 クリア後はシリーズ初の隠しダンジョン。後のシリーズと比べるとまだまだ小規模なわけだが、仲間モンスターシステムとも相まって、これがあるからこそやり込んだというプレイヤーは多いと思う。


 本作もまたリメイク前後でかなり違いがあるので、できれば原点であるスーファミ版をプレイしていただきたいところである。普通にプレイしているだけで影響を受けるバグがいくつかあるのが残念だが、各自攻略サイトを参考に回避していただきたい。

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