マリオペイント(任天堂・1992年)

 プレイ時期:1993年ごろ

 ソフト入手:中古で購入

 クリア状況:ハエたたきゲームを1周クリア

 おすすめ度:★★


 *


 本作とほぼ同時期に、学校などにあったPC-98で『ハイパーキューブ(スズキ教育ソフト)』というお絵かきソフトで遊んだ。同世代でも人によって順番は前後しているし、そもそも当時まだパソコンに触れていなかった人も少なくないだろうが、いずれにしても「スーファミでパソコンみたいなことができる」というのは不思議な体験だった。


 例えばタイトル画面の文字をクリックすると何かが起きるように、細かい部分でも遊び心が溢れており、任天堂は単なるツールではなく「ゲーム」として作ったんだということが(とりわけ無機質なPCソフトと比較すると)はっきりとわかった。


 マリオペイントは、絵を描くだけでなく簡単な操作でアニメ(最大9コマの静止画を動かしながらコマ送り)や音楽も作ることができる。とはいえ操作がマウス限定。当時なら当たり前なのだがボール式で、光学式と比べると細かい操作がかなり苦手である。絵心がある人でも狙い通りに描くのはかなり難しいと思う。


(なお、今から対応マウスを手に入れた場合、蓋を開けてボール周りのローラーを清掃するのは必須だと思われる。ボールマウスは使っているうちに汚れが自然に溜まっていくので定期的なメンテナンスが必要なのである)


 公式攻略本では色々なサンプルが載っているのだが、上手すぎてほとんど真似ができない(ビデオ化もされており、ピカソの《ゲルニカ》を再現したりもする)。唯一参考になったのは、「雲」や「恐竜」の形のスタンプを筆代わりに使うことでゴッホの油絵のような効果を出すということだった。


 反面、音楽は楽譜を並べるだけなので比較的簡単である。例えば音楽の教科書から適当な曲を持ってくるだけでも結構な出来になる。シャープやフラットが出せないのが残念だが、攻略本では「変な音で誤魔化せ」とか書いてあった。


 セーブデータは1枠のみ。絵もアニメも音楽もすべて一揃えでの保存となる。ターボファイルのような外部保存機器に対応していないのは非常に残念(そもそもメモリーカードであるターボファイルが任天堂じゃなくてサードパーティのアスキー製で、同社のゲーム以外には対応してないって普通に考えておかしくないか?)。説明書には「セーブしきれない作品はビデオに撮って残そう」などと書いてあった。


 ただしオリジナルスタンプ15種類はセーブデータと別枠に保存できる。こちらは拡大画面でドット絵を作れるので、手先の器用さとは無関係に徹底的に作り込める。既存のスタンプを読み込んで改造することも可能で、例えばマリオを塗り替えてルイージにしたりできる。その際には微妙な色使いのテクニックや、ドットのみで「○」のような曲線を表現する仕組みを知って感心したものである(当時のブラウン管テレビでは、細かいドットを直接確認しづらかった)。これでドット打ちに目覚めた人もいるかも知れない。


 今ならSNSなどに作品を公開すると楽しそうな気がするが、そのための環境を整えるハードルが高そうであるし、そもそも絵にしても音楽にしてもより優れたソフトがいくらでもあるだろう。敢えて機能の制限されたマリオペイントを使うという楽しさも理解できなくはないのだが。


 ちなみにマウスは他にもいくつかのゲームに対応しているが、前にレビューした『シムシティー』には発売時期の関係で非対応なのが残念である。相性は非常に良かっただろうに。ところで改めて調べてみたら対応ソフトが想像以上に多くて驚いた。多くは(比較的)大人向けのシミュレーションゲームのようで、当時小学生だった私には馴染みが薄かったわけである。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る