第6話 逃走

「おい……あんた大丈夫か?」彼女が倒れていた路地裏に到着すると、彼女はまだ息があった。郡正は彼女を心配し声を掛けた。


「ぅう……ハァハァ……」


茶色の髪色と青い瞳、そして堀の深い顔立ちをしている少女は汗をダラダラとかき、真っ青な顔色をしていた。奇妙な事にその裸体にはまるで雷に当たりたかのような火傷の痕が多数見受けられた。


「あんた大丈夫か?すぐに救急車を呼ぶからな。」

「それは……嫌ぁ!!」


少女がそう叫ぶと、彼女はまるで痙攣を起こしたように小刻みに身体を震わせた。

その異常な光景に郡正はただ困惑するしかなかった。


「え……?」郡正はただ困惑した。

そして少女は、息を荒くしながらもなんとか立ち上がり路地裏をヨロヨロと歩き始めるがすぐに地面に倒れ込んでしまった。


「おい!大丈夫か?救急車を呼ぶぞ!」


郡正は彼女の様子が只事では無いことを理解すると、彼女に手を差し伸べた。しかし彼女はそれを拒んだ。 


「警察…。それと服と水を…。……」

「警察と服と水か……。わかった!」


郡正は先に警察に追放したあと、急いで彼女に言われた物をコンビニに買いに行った。


「くぅ〜お小遣い…。せっかく増えたと思ったのに…。」


郡正はそう愚痴りながら、最寄りのコンビニに回って服を探しに行った。


最近のコンビニはかなり品揃えが充実しているとはいえ、流石に下着のような物以外は置いていなかった。

「仕方ない……。とりあえずこれを買っていくか」

郡正は、買い物かごに彼女の下着と無地のTシャツ必死に探して見つけた、コンパクトなチノパンを

放り込んだ。


「あと水…ていうか俺は、馬鹿だ。 どうして、彼女を一人で置いてきた。 早く戻らなきゃ。」


郡正がコンビニを出て、彼女が倒れ込んでいた路地裏へ急いで戻ろうとしたとき、すでに路地裏の近くで3代のパトカーが停車していることに気がついた。

「なんだ…もうついてるかそりゃ」

郡正が、慌てて路地裏の方へ走って戻るとそこには3人の警察官に事情聴取をされている彼女がいた。

「買ってきたよ…水とそれから…。」

「あの人です…!!私あの子供に乱暴されたんです!!」

「は?」

郡正は、一瞬彼女が何を言っているのか理解できなかった。しかしすぐに彼女が自分を指さしていることに気がついた。

「え?俺?」

警察は郡正に話を詳しく聞くべく、彼に近づいてきた。

「ちょっと、来てもらえる?」

「いや…違っ…俺は…放せ」

郡正は、必死に抵抗した。しかし警察は聞く耳を持たずそのまま彼の腕を強く摑んだ。


「いいから来い!」

「離せよ!おい!!違うって言ってるだろ!!」


郡正は必死に抵抗した。しかし彼の願い虚しく彼はパトカーに無理やり乗せられてしまった。

「放せよ!!俺は関係ない!!」


その悲痛な叫びすら、外から見ればパトカーが鳴らすサイレンに無常にも掻き消されてしまった。

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