第3話 外から来たモノ
「じゃあ…。」
「あぁボクは男だ。」
「…………。」
郡正は、千次の言葉に言葉を失った。そんな様子を見かねた駅員は口を開いた。
「なんだかわからないが解決したみたいだな」
「あぁ……騒がせたな。」
郡正は駅員に頭を下げた。「いいよ、大したことじゃないし。…それにしても男だったとはな……。驚いた」
駅員はそう言って業務に戻っていった。
そして郡正は千次に話しかけた。「さてと…なら…行こうか」
「行く…?ていうか僕を探していたお前は誰だ?」
千次が、訝しげな表情を浮かべて郡正に聞くと、彼は少し間をおいてから自己紹介を始めた。
「あぁ……そうだったな。俺は来栖郡正。 おまえがこれから家の養子になるって聞いてな…。この街は迷いやすい。だから迎えに来た」
郡正はそう言って郡正は千次と握手をした。
「あぁ…そうか。 これから世話になるよ。」
「気にするな」
郡正はそう言って、千次を連れて家に帰るべく駅員のいるホームを離れた。
すると千次はあたりを見渡して、「話には聞いていたが、本当に凄いな」と呟いた。
「何が?」
郡正は千次に聞くと、千次は首を横に降った。
「いいや…気にしないでくれ。 取り敢えず改札まで案内してくれ…。 ここは人が多い。」
「あぁ……分かった」
郡正は千次のことを内心(変なやつだな…。)と思いつつも彼の要望に応え、改札へと案内した。
すると、千次は目を輝かせてキョロキョロとあたりを見渡した。
「これは…。」
「おい……どうした?」
郡正が千次の、様子に違和感を覚え声をかけるが千鈴はいに返さずまるでテレビでしか見たことのないリゾート地に来たような浮足立った足取りで改札から見える外の景色に駆け出していった。
「おい…!待てよ!!」
郡正は慌てて彼を追いかけていったが、千次はそんな郡正のことを無視して突っ走っていき、すぐに人混みの中にその姿を消した。
「たく…なんだよアイツは……。
どんだけイカれてんだよ!!?」
郡正が焦りながら人混みをかき分け、千次を追いかけて、千次が、通った改札を抜けて駅の外へでた。
「ッ…!! 面倒くせぇッ!!何処いったんだよッ!!」
郡正は千次の行方を周りを見渡しながら、千次のことを必死に探した。
すると目の前にただ空を見上げて呆然としている
千次を見つけた。
「やっと見つけたぜ…不思議ちゃん」
「何度も言わせるな…ボクは男だ」
「そりゃ悪かったな!不思議くん」
郡正は苛つく心を抑えながら千次の肩に手を置き、そう言った。
「それで? そんなに空見上げてどうしたんだよ? 空になにかいたか?」
郡正がそうからかうと、千次はそれに対して真剣な眼差しで郡正の方を向き、答えた。
「逆だ…居ないんだよ…。」
「何が?」
「魚だよ…この街では普通なのか?」
「……。」
「ん?あれは…?」
千次は唖然とする郡正を気に求めず今度は直ぐ目の前に駐車されていた青い高級車の後ろからにかがみながらマフラーに顔を近づけるという奇行に走っている千次の姿を見つけた。
「勘弁しろよ……。マジで…」
郡正は、呆れた様子で頭を千次に近づいた。
すると、千次はマフラーに顔を近づけながら、
「これは…ガソリンか…。それに……」と何かを呟いていた。
「おい!何やってんだよ!? マフラーに顔なんか近づけんなって!」
郡正が千次に声をかけると、彼はこちらを振り向いた。
「コレ…ガソリンで動いているのか?」
千次は、マフラーに顔を更に近づけてそう尋ねた。
「当たり前だろ…。 お前いい加減ふざけんなよ。」
郡正が怪訝しながらと答えた。
「へぇ……この街はこんなもので移動しているんだな……。」
千次は、マフラーから顔を離して郡正の方を見た。
「なぁ…頼むからさ…。変なことしないでくれよ……。」
郡正は、千次にそう訴えると千次は立ち上がりブチギレている表情をしている郡正の目を凝視した。
「分かった……すまない…悪目立ちしようとしてるつもりはないんだ…。ただその…ボクは辺境の田舎から来てな」
そう言って千次はマフラーから手を離した。
「車も電車もないってどんな辺境だよ…」
郡正は、呆れながら千次にツッコミをいれた。
「とにかく……早く行こう…。家まで案内する。興味本位で何処かにいかず、ちゃんと着いて来いよ。面倒はゴメンだ!」
郡正が千次にそう伝えると、千次は真剣な表情で「分かった」と言って頷いた。
「よし…。取り敢えず、駐輪場に寄る。 自転車を回収させてくれ」
郡正が千次にそう言うと、彼は「わかった。」とだけ応えた。そして駐輪場に着くと、郡正は自転車に鍵を差しそのまま回した。
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