第24話
ブライン様の指示通りに即刻屋敷を出発したのだが、時計の短針は1を指していた。
深夜1時か…。
「この時間では、バスも電車もありませんね。」
私はどうするべきかと頭を悩ませる。
目的地のルースアーへは特急列車で向かうのが妥当だろう。
特急列車に乗るためには西の大都市デボネルを経由する必要がるが、直線距離で30キロといったところだ。
とりあえずはバスを乗り継いでデボネルを目指そう。
私たちは屋敷に来た日の記憶をたどって、最寄りのバス停まで向かった。
『始発 5時45分』
バス停の時刻表を確認して、私たちは絶望した。
「ざっと5時間もあるな…。」
レイ様はそう言ってあたりを見渡した。
不幸なことに、バス停には待合所どころかベンチすらなかった。
「ここで5時間過ごすのは危険すぎます。人目につかない所へ向かいましょう。」
「…。といってもこのあたりには何もないぞ…。」
レイ様はそう言って呆れた顔をした。
冷静に考えて、ブライン様がいないのはまずかったのではないか…?
「なあ、ルースアーに行きたいんだろう?」
レイ様は何を思い付いたのか声色を変えて楽しそうに話し始めた。
この状況でどうして楽しそうにいられるんだよ…!
「そうです。そのために、まずデボネルへ向かって…。」
レイ様と反対に私は弱気な声で説明を始めた。
しかし、レイ様はそんな私を遮った。
「デボネル?そんな所を経由しなくたってルースアーにはいけるぞ?」
こいつはなにか言いたいことがあるのか自信満々のご様子だ。
「どのようにお考えでしょうか?」
その言葉を待っていたと言わんばかりの嬉しそうな表情でレイ様は私を見つめた。
「俺を誰だと思ってるんだ?」
…。詳細を聞かなくても想像がついた。
これは絶対にまともじゃない意見だ。
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