12「番外編」

鮎美の旧姓は、鬼怒川だ。

とある漁港にあるお土産売り場にある、絶対に静電気が出るベストを考案した鬼怒川紬きぬがわつむぎの子孫であった。


鬼怒川家は、紬の次々に作成するベストの他に、普通の毛糸で作られた作品もあり、それらの商品が売れていて、その技術を大切にしていた。

とある時、姉弟が産まれて、姉が、鬼怒川家の技術を継ぎ、弟は、鬼怒川の名前を継いだ。


その弟が、その地域を出て、結婚して、子供を作り、その子供も鬼怒川の名前を継いで、しずくという女性と結婚した。

子供も生まれて、鮎美と名付けられた。


その鮎美が、その鬼怒川紬の技術である毛糸で出来た作品のモデルを頼まれた。

親戚になる人からの依頼であったが、親戚じゃなくても、依頼は受けていた。


その漁港の静電気が出るベストは、もう、人気になっていて、着て見たいと思っていた。

それに、静電気が絶対に出るで、興味が沸いていたのである。


鮎美が、鬼怒川紬が自分の先祖と知ったのは、新婚旅行にいく為に、パンフレットを見ていた時だ。

パンフレットには、絶対に静電気が起きるベストが有名で、作成者は鬼怒川紬とかいてあった。


「鬼怒川って、私の旧姓だね。」

「ん?その人、親族だよ。」

「え?」


母から、系統を知らされた。

その後、モデルとなった鮎美を見て、調べて来た漁港組合の一人が系統を調べると、子孫となり、お互いに親族と気づいたのである。


新婚旅行と、モデルの仕事の両方をする為、漁港に旅行先が決まった。


漁港に来ると、竹がとても多く見られた。

八月のお盆になると、竹に中学生が釣った魚を奉納するイベントがあるのを知った。

今は、冬になる前、秋が終わる時期で、そのイベントは逃した。


そして、この場所は、とても不思議な言い伝えがあって、絶対に津波が起きなく、海がとても綺麗で、魚と対話が出来ると言われていた。

その光景は、絵画として描かれて、有名なオランダ生まれの兄弟が作者である。


絵画は、この地域にある地域文化センターにて、展示されていて見られる。


鮎美がモデルで、流が鮎美専属のマネージャーであった。

マネージャーの他に、メイクや髪のセットもしている。


流の本業は、福祉施設で働いていて、鮎美の本業はモデルであった。

普段は、鮎美は自分でセットをしているけど、流が休みの時は流に任せている。

鮎美を引き出させるのは、流が一番だ。


鮎美はモデルの他に、副業として、アルバイトしていた会社の清掃を続けていた。

モデルという綺麗にしていなくてはいけない仕事と、清掃という綺麗にする仕事。

それに、趣味のロボットメンテナンスもあり、綺麗にして維持するという仕事は、鮎美にとっては、とてもピッタリであった。


主にモデルの仕事が入ってくるのは、定年退職した父のスマートフォンであった。

父が、仕事内容を訊いて、それを流に教えて、流が依頼された会社を調べ、よければ了解する。

流が調べて了解した仕事は、とても良い所ばかりで、鮎美は安心をして仕事が出来るのである。


鮎美が仕事を終えて、新婚旅行となった。

とても美味しそうな魚が、ホテルの夕食に出て、二人で美味しく食べる。

魚以外にも、野菜や果物もおいしくて、つい食べ過ぎてしまう程だ。


中でも、リンゴジュースは、とても格別で美味しい。

竹の筒に入っているリンゴジュースが、珍しくて売れている。


リンゴジュースを見た瞬間、流は嫌な顔をさせた。

鮎美は、理由を知っていて、代わりに飲んだ。


「しかし、血兄達、おいてきてよかったの?」


流が言うと。


「いいの。それに、両親が血兄達と話しがしたいっていったから。流さんは、砂鉄さん良かったの?」

「砂鉄は、邪魔になるから、おいていけ。だって。」

「「一緒にきてもよかったのに。」」


お互いに、今まで、自分の中にいて、話しをしてきて、いつも一緒にいたから、違和感があって、しかたなかった。


新婚旅行っていうと、何かあるのだが、この二人には、まだ兄妹という感覚があり、そんな気には成れなかった。

夫婦の感覚が、まだ、感じられなくて、これは時間が経たないと、実感は湧かない。


「しかし、こうやって旅行に来るといいな。」

「そうね。色々と発見できるわ。」


お土産売り場を歩いている時の会話である。

次々と興味が沸くおもちゃが多くて、つい買ってしまっていた鮎美を見て、流は感想を持ったのである。


男の子のおもちゃが好きなのは、今も変わらずに、ずっと好きで、今でもメンテナンスをしたり、組み立てたりしている。

でも、前と違い、怪我をしそうな時には手袋をし、力が欲しい時には流に任せた。


それに、今は、3Dプリンターというものもあり、興味が引かれていて、その勉強をしている。


本当に、鮎美は変わった。

その変わっていく鮎美を、一番近くで見て、感じて、自分で染め放題となると、流は、とても嬉しくなった。



新婚旅行は終わり、帰宅すると、心配した三体のロボットが玄関まで来てくれた。

その後に、両親がいた。


「おかえりなさい。」

「ゆっくりできたか?」


その答えをする為、その後、流と鮎美は旅行の話しをした。

もちろん、その時には、机にロボット四体いて、一緒に話しを訊いて加わっていた。


終わり

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任務遂行中 森林木 桜樹 @skrnmk12

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