9 隠し事
ドロップの言う通り、そのロボットは本屋にいた。背中には大きい葉のようなものが二枚あってパタパタさせている。それで浮いているみたいだ。その体の周りには薄っすらと赤色の光。右手には一冊の本があり、棚を眺めている。次は何読もうかなって考えてるのかな。
僕達が近づこうとすると、ナンさんは嬉しそうな顔をしながら大きく手を振ってきた。
「あれ、飴の子だー! 久しぶりだねー!」
「……飴の子? 飴の子って?」
「ナンさんはなぜか私のことを『飴の子』とよぶんです。久しぶり、ナンさん」
「あ、君ってあれじゃない? シロツメが探してた子。えっとね、なんだけ……ヒウ?」
「ヒユっていいます。僕はドロップの友達で、一緒に話しているときにナンさんの話題が出て、それで……」
「あああ! いいよ、敬語使わなくて! ……あんまり堅いのは好きじゃないんだ」
シロツメさんが僕の家を知っていたのは、やっぱりナンさんが教えたから。ナンさんは「なんでそんな細かいこと気にするの?」と言っていた。言われてみれば確かにそんな気もする。だけど……なんか怪しい。シロツメさん。なんか僕に隠してる気がする。確証は無くて、感だけど……。
「あの、シロツメさんに会った時、その家の事以外に僕について話していたことって何かなかった?」
「うん? 何にもなかったと思うけど」
「そうか、無いのか……」
「んーーーあ! 『あの子が被害者なのか加害者なのか気になるんだけど分かる?』って言ってたよ!」
その一言に重みが感じられた。
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