8 ナンさんを探しに
僕達は今、三番地区の道を歩いている。偶に倒れてる人がいたり怖い人がいるけど、比較的安心できる場所。ここに来るのは二回目だけどやっぱりこの地区は明るい。他の地区に行くのがちょっと怖くなる。
「四番地区はどこら辺なの?」
「このまままっすぐ進めばあります」
「……そう」
…………気まずい。初対面のときもそうだったけど、いやずっとそうだけど、話す話題がない。あるっちゃあるけど、あんまり暗い話は嫌だし……。余計気まずくなる。家ではどんな事話してたっけ、そうだ、過去のこととか。あれ絶対聞かないほうがよかった。なんであんな事聞いちゃったんだろう。ほのぼのと話せる話題とかないかな。僕名無しさんしか友達いなかったから、人と話すの慣れてないんだな。多分。しかもドロップも、あまり自分から話しかけないタイプだと思う。はぁ……どうしよう。
「よ、寄り道とかしない? ほら、お店たくさんあるけど」
「ヒユさんが行きたいなら」
「え……うん、やっぱり、今はいいや」
「四番地区のちあんはわりと良いほうです」
「三番とつながっているからかな。この雰囲気、なんか好きかも」
レトロな街並み。三番地区ほどの賑わいは無く、自然も豊富でレンガの建物がたくさん並んでる。とても心地良い。なんだかよこはまみたいな……。
ナンさんは四番内だとよく本屋にいるらしい。読書好きだったりするのかとドロップに聞いてみたけど、読んでも内容をすぐに忘れてしまうそうだ。だから何回も行くんだって。
「ここの本屋です。もしここにもいなかったらコインランドリーでしょうか……とりあえず入りましょう」
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