6 福をなす∧私の愛は増すばかり

『なんでシロツメさんは、ボクの家、知ってたのかな?』


「……名無しさん!」


 僕は目を覚ました。久しぶりに会った。名無しさん。夢の中に出てきてくれるなんて。もう会えないのかと思ってたのに。


「どうしましたか? いきなり、おおきなこえで」

「あ、ごめん。びっくりしたよね」

「ななしさんってだれですか?」

「友達。もういなくなったけど」

「……そうですか」


 起こしちゃったのかな。なんか申し訳ない。僕はもう一度ドロップに謝った。ドロップは「きにしないでください」と言ってから部屋に戻っていった。……ところでさっき、シロツメさんがなんで僕の家を知ってるのかって、名無しさん言ってたよね。昨日のこと? 確かに僕、家どこか教えてないけどさ。え、なんでだろ、なんでわかったんだろう僕の家。もしかしてドロップが教えたのかな? 


「ドロップ、シロツメさんに家の場所教えた?」

 僕はドロップの部屋に行き、聞いてみた。

「あぁ……言ってないですよ。きのう、なんであの人がここにこれたのかってこと、ですよね」

「そう! 思い返してみたら、なんでシロツメさん、僕の家来れたのかなって」


 そして、ドロップは少し考えてからこう言った。

「……ナンさんにおしえてもらったのでしょうか」



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る