3 私には理解できませんでした。

「はい、これどうぞ」


 僕はドロップに温かいココアを渡した。ドロップはコクリと頷いてココアを飲み始める。美味しいと言ってくれた。よかった。それにしても、ドロップとシロツメさんってどういう関係なんだろう? シロツメさんが僕にドロップを預けた理由もよくわからないし……。


「ヒユさん、ひとつきいても……いいですか?」

「いいよ」

「ヒユさん、も犯罪者なんですよね」


 「x地にいるってことは、そうですよね」と彼女は付け足して言った。絶対にいつかは聞かれるだろうなとは思っていたけど、いざとなるとなんて答えれば良いのか分からなくなる。


「まぁ、そうだね」

「……なにをしたかはききません」

「……え、うん」

 

 ドロップは「ココア、ありがとうございます」と言ってから部屋に入っていった。僕の家の使っていない部屋だ。これからはドロップの部屋として使ってもらう。リビングルームで一人になった僕は考えた。そっか。僕も犯罪者なのか。そうだよね。だから今僕はここにいるんだ。……この子はどんな罪を犯したんだろ。

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