4️⃣
「気絶したのね、アタシ……うーん、ぽんこつ……」
己の不甲斐無さに辟易しつつ、{
初めて手に取る真剣は、思った以上に重たく、しかし持てないほどではなかった。マリアがこれから成長するにつれて上手く使えるようになるだろう。柄から毒を流し込むやり方のある程度の方法も確認することが出来た。聖愛は鞘に刀を納め、{
にしてもさっきの声は何だったのだろう、マリアは困惑する。今まで{
——“
思い出してゾッとした。その声を
兎に角疲れた。マリアは眠ってしまおうと思って、もう一度ベッドの方に歩いていく。その時、視界の中で白い何かが動いたのが見えた。
マリアは驚いて、反射的に自分の腕を見た。今なにか、何か白いものが腕を伝って行ったように見えたのだが、見間違いだっただろうか。肌に何かが触れる感触はなかった。
「……なに、怖い……」
素直に感想を零せば、それはまた腕を這った。ヒッと悲鳴を上げて、マリアは己の左腕を前に突き出すようにして
それは、赤い目をした
「なに、なにこれ……! やだ、やだ!!」
想像だにしなかった存在の登場に幼いマリアは取り乱し、腕を掻き毟る。蛇はマリアの爪先を避けるように腕をぐるぐると動き回り、マリアの白い腕が爪先によって付けられた傷で真っ赤に腫れ上がっても平気な顔でそこに居た。
「アナタ、なんなの……? 魔神……? それともべつの……」
蛇はチロチロと赤い舌先をこちらに向けて、マリアを見ている。マリアは奇々怪々なこの蛇の存在に疲れきってしまって、その日は考えるのをやめて眠った。
翌日、蛇はマリアの左足に居た。マリアはもう気にすることなく普通に生活を送ることにした。だが蛇が肌を伝い視界の隅に入る度に、コイツは何者なのだと疑問が湧く。
最初はあれだけ取り乱しはしたが、一晩経ってみるとマリアはこの蛇に対してなんの恐怖心も無く「ああ今日も居るのか」程度に考えるようになった。
更に翌日にはこの蛇は餌は要らないのかとおやつとして運ばれてきたケーキを一掬い肌に押付けてみたが、蛇は関心を見せない。
「お腹空かないの?」
マリアは蛇に問う。この時代はメリンダとはまだ出逢っていなかったため、マリアは基本的に部屋にずっと一人だった。
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